WordPressマスターへの道 7 – 初心者向け全10回講座
プラグインを制する者はWordPressを制す!サイトの可能性を無限に広げる方法
前回の講座では、WordPressの「テーマ」をカスタマイズし、Webサイトに美しいデザインと個性を与える方法を学びましたね。これで、情報発信の舞台は、より魅力的でプロフェッショナルなものになったことでしょう。
しかし、WordPressの真の力は、美しいデザインだけにとどまりません。WordPressを世界で最も人気のあるWebサイト構築プラットフォームたらしめている最大の理由の一つが、その驚くべき「拡張性」です。そして、その拡張性を実現する魔法の道具こそが、今回ご紹介する「プラグイン」なのです。
「プラグインって、具体的に何ができるの?」
「たくさんありすぎて、どれを選んで自分のサイトに入れればいいか分からない…」
「安全なプラグインの選び方や、インストールの手順は?」
この記事では、そんな疑問に明確にお答えします。プラグインの基本的な役割から、Webサイトの目的やニーズに合った安全で質の高いプラグインを選ぶための重要なポイント、そして具体的なインストールと管理の手順まで、初心者の方にも分かりやすく徹底的に解説します。
さらに、【必須プラグイン 2025年版】として、Webサイト運営を飛躍的に向上させる、厳選されたおすすめプラグインとその活用法もご紹介します。
これらのプラグインを効果的に活用することで、WordPressサイトは、まさにあなたが思い描く理想の機能を持つ、強力なツールへと進化します。
そして、そのような多機能なサイトを安定して、かつ快適に運営するためには、それを支える信頼できるレンタルサーバーというしっかりとした基盤がいかに重要であるかも、自ずとご理解いただけることでしょう。
さあ、プラグインの力を解き放ち、WordPressサイトの可能性を無限に広げる旅へと出発しましょう!
この記事で学べること
この記事を最後までお読みいただくことで、あなたはWordPressプラグインに関する以下の重要な知識とスキルを習得し、ご自身のサイトをより機能的で、より安全で、そしてより使いやすいものへと進化させることができます。
- WordPressプラグインがどのようなものであり、Webサイトに具体的にどのような素晴らしい機能を追加できるのか、その基本的な役割と導入の大きなメリットを明確に理解します。同時に、プラグイン導入時の注意点(プラグイン競合の基本的な対処法や、プラグインの脆弱性情報の確認の重要性など)についても学びます。
- 世の中に数多く存在するプラグインの中から、Webサイトにとって本当に必要で、かつ安全で質の高いプラグインを選ぶための、具体的な5つの重要な判断基準を習得します。
- WordPressの管理画面からプラグインを新規にインストールし、有効化し、必要な設定を行い、そして定期的に更新し、不要になったプラグインを安全に削除するまでの一連の基本的な管理手順を、具体的なステップでマスターします。
- 【必須プラグイン 2025年版】として厳選された、WordPress初心者の方がまず導入を検討すべき代表的なプラグインのカテゴリとその具体例を知り、それぞれの基本的な使い方や、導入によって期待できるメリットを具体的に理解します。また、Webサイト全体のパフォーマンスを考慮したプラグイン軽量化の基本的な考え方についても学べます。
WordPressプラグインとは?サイト機能を追加・強化する魔法の道具
まずは、WordPressサイト運営において非常に重要な役割を果たす「プラグイン」とは一体どのようなものなのか、その基本的な概念と、プラグインが持つ素晴らしい可能性について理解を深めていきましょう。
プラグインで実現できること【SEO対策・セキュリティ強化・お問い合わせフォーム等】
プラグインとは、WordPressの標準機能(コア機能)だけではカバーしきれない、さまざまな追加の機能や動作を、WordPressサイトに比較的簡単に導入するための、小さな独立したプログラム、ソフトウェアパッケージのことです。
これを例えるなら、お使いのスマートフォンに新しいアプリをインストールして、スマートフォンの機能を増やしたり、ある作業をより便利に行えるようにしたりするのと非常に似たようなイメージです。
WordPressに適切なプラグインを導入することで、例えば以下のような、Webサイト運営において非常に役立つ、あるいは不可欠とも言える多種多様なことが実現可能になります。
訪問者との接点を作る「お問い合わせフォーム」の簡単な設置
Webサイトを訪れた人が、気軽にメッセージを送信したり、質問をしたり、あるいは仕事の依頼をしたりできるようにするための、専用の入力フォームをWebサイトに作成できます。
検索エンジンからの評価を高める「SEO対策」の強化
GoogleやYahoo!といった検索エンジンからのWebサイトへの評価を高め、検索結果でより上位に表示されるようにするための、様々な技術的な最適化やコンテンツ分析機能を追加できます。
大切なWebサイトを守る「セキュリティ機能」の向上
悪意のある第三者による不正なアクセスや、Webサイトの改ざん、悪質なプログラム・マルウェアの侵入といった様々なサイバー攻撃から、大切なWordPressサイトを強固に保護するための機能を追加できます。
Webサイトの表示を速くする「高速化」の実現
一度表示したWebページのデータを一時的に保存しておく技術であるキャッシュ機能を利用したり、画像を最適化したりすることで、ページの読み込み速度を改善し、訪問者がWebサイトをより快適に閲覧できるようにします。この画像最適化プラグインがもたらす効果は、ユーザー体験の向上に直結します。
万が一に備える「自動バックアップ機能」の導入
予期せぬサーバーの障害や、ご自身の誤操作による重要なデータの削除、あるいはWebサイトがハッキングされてしまったといった最悪の事態に備えて、記事の文章、画像、各種設定情報などが保存されているデータベースなどWebサイトの全てのデータを、定期的に自動で安全な場所に保存、バックアップする仕組みを簡単に構築できます。
SNSとの効果的な連携強化
WordPressサイトで新しい記事を公開した際に、その情報を自動的にX(旧Twitter)やFacebookといった主要なSNSアカウントに投稿したり、記事の各ページに、読者が簡単にその記事を自分のSNSで共有できるようにするシェアボタンを簡単に設置したりできるようになります。
記事の可読性を高める「目次の自動生成」
特に情報量が多く、複数のセクションに分かれるような長い記事を作成した場合に、読者が記事全体の構成をひと目で把握しやすく、また目的のセクションへすぐにジャンプできるようにするための「目次」を、記事内のH2、H3などの見出しタグから自動的に生成して表示できます。
オンラインショップ(ネットショップ)を開設する「ECサイト機能」の追加
WordPressサイト上で、物理的な商品や、デジタルコンテンツを販売し、オンラインでのクレジットカード決済システムなどを導入するための、本格的なEコマース(電子商取引)機能を構築できます。
世界中の人に情報を届ける「多言語対応サイト」の構築
Webサイトを、日本語だけでなく、英語や中国語やスペイン語といった複数の言語で表示できるようにするための機能を追加し、より多くの国や地域の人々に情報を届けられるようにします。
これらは、プラグインによってWordPressサイトに追加できる機能の、ほんの一例に過ぎません。
WordPressのプラグインは、世界中の多くの才能ある開発者や企業によって、日々新しく作成・公開されており、その種類は実に何万とあります。
もし、「自分のサイトにこんな機能があったらいいな」「こんなことができたらもっと便利になるのに」という願いを持っているのであれば、多くの場合、その願いを叶えてくれる適切なプラグインがきっと見つかることでしょう。
プラグイン導入のメリットと注意点(サイト速度低下・テーマや他プラグインとの互換性)
WordPressにプラグインを導入することには、以下のような多くの素晴らしいメリットがあります。
専門的なプログラミング知識が基本的に不要
HTML、CSS、PHP、JavaScriptといったWeb制作やプログラミングに関する詳しい知識がなくても、通常なら高度な技術や専門的な開発が必要となるような複雑な機能を、比較的簡単にWebサイトに追加することができます。
開発にかかる時間とコストの大幅な節約
本来であれば、専門のWeb制作・開発業者に高額な費用を支払って開発を依頼したり、あるいはご自身が膨大な時間をかけてプログラムを開発したりする必要があるような高度な機能を、無料または比較的安価な費用で、しかも短時間で導入できるため、Webサイト構築・運営にかかる時間とコストを大幅に節約できます。
Webサイトの価値向上と訪問者の利便性向上
プラグインによって追加された様々な便利な機能は、WordPressサイトを訪問するユーザーにとってより使いやすく、より魅力的で、そしてより価値のあるものにし、Webサイト全体の評価を高めることに直接繋がります。
しかしその一方で、WordPressにプラグインを導入する際には、いくつかの重要な注意点も存在します。
これらの注意点をあらかじめ十分に理解しておくことが、後々の予期せぬトラブルを未然に防ぎ、安定したWebサイト運営を続けるためには非常に重要です。
Webサイトの表示速度が低下する可能性
プラグインをたくさん導入しすぎると、WordPressが実行しなければならないプログラム処理の量が増え、結果としてWebページの読み込み速度が遅くなることがあります。
特に、品質の低いプラグインや、最適化が不十分なプラグイン、あるいは非常に多機能で重いプラグインなどは、Webサイト全体のパフォーマンスに大きな悪影響を与える可能性があります。
そのため、プラグインの軽量化という視点を常に持ち、Webサイトにとって本当に必要な機能を提供するプラグインだけを、厳選して導入するように心がけることが大切です。
現在使用しているテーマや他のプラグインとの互換性の問題(「競合」)
残念ながら、新しく導入しようとしているプラグインが、現在WordPressサイトで使用しているデザインテーマや、既にインストールして有効化している他のプラグインとの間で相性が悪く、互いに干渉し合ってしまい、予期せぬ不具合を引き起こすことがあります。
例えば、Webサイトのデザインが大きく崩れてしまう、一部の機能が正常に動作しなくなる、最悪の場合WordPressの管理画面にアクセスできなくなるなどの不具合です。
このような状態を一般的に「プラグインの競合」と呼びます。
もし、新しいプラグインを有効化した後に何らかの問題が発生した場合には、その基本的な対処法としては、まず最近追加または更新したプラグインを一つずつ無効化していき、どのプラグインが問題の原因となっているのかを特定するという、地道な切り分け作業が必要になることがあります。
セキュリティ上のリスクが増加する可能性
長期間にわたってアップデートされていない古いバージョンのプラグインや、信頼性の低い未知の開発元から提供されているプラグインは、セキュリティ上の脆弱性、つまりプログラムの設計上の弱点や欠陥を抱えている可能性があります。
悪意のある第三者は、このような既知の脆弱性を狙ってWordPressサイトを攻撃し、Webサイトを改ざんしたり、不正なプログラム(マルウェア)を仕込んだり、Webサイトに保存されている重要な情報を盗み出したりする可能性があります。
そのため、プラグインを選ぶ際には、そのプラグインに関する、過去にどのような脆弱性が報告され、修正されているかなどのプラグイン脆弱性情報にも常に注意を払い、信頼できる開発元が提供するプラグインを選びます。
そして何よりも、インストールした全てのプラグインの定期的なアップデートを行い、常に最新のバージョンに保つことが、セキュリティ対策の基本となります。
WordPress本体ソフトウェアのアップデートへの影響
WordPressの本体ソフトウェア自体が、セキュリティ強化や機能改善のためにメジャーアップデートされた際に、一部のプラグインがその新しいWordPressのバージョンにまだ完全に対応しておらず、一時的に正常に動作しなくなったり、予期せぬ問題が発生したりするというケースもあります。
これらの注意点を十分に理解し、後ほど詳しくご紹介する「プラグインの選び方の重要なポイント」を参考にして、慎重にプラグインを選び、そして導入後も適切に管理・メンテナンスしていくことが、安全で快適な、そして高機能なWordPressサイトを運営していくためには不可欠です。
WordPressプラグインの選び方で失敗しないための5つの重要ポイント
WordPressの公式プラグインディレクトリだけでも、文字通り数万もの膨大な数のプラグインが登録・公開されています。
その中から、運営するWebサイトにとって本当に安全で、かつ目的の機能を確実に提供してくれる質の高いプラグインを選ぶためには、いくつかの重要なチェックポイントがあります。
何も考えずに闇雲に新しいプラグインを次々とインストールするのではなく、以下の5つのポイントを必ず確認するようにします。
1. プラグインのユーザー評価(星の数)と具体的なレビュー内容をしっかり確認する
WordPressの公式プラグインディレクトリでは、各プラグインの専用ページで、実際にそのプラグインを利用した他のユーザーが付けた星の数で表示される5段階の評価や、具体的な使用感、良かった点、問題点などを自由にコメントとして投稿できる「レビュー」機能が提供されています。

ユーザーからの評価が高いプラグインを選ぶことを基本とする
一般的に、星4つ以上の高い評価が多く集まっているプラグインは、それだけ多くのユーザーから機能性や安定性、使いやすさなどが支持されており、比較的信頼性が高いプラグインであると言えるでしょう。
具体的なレビューコメントの内容を注意深く読む
単に、星の数が多く総合的な評価が高いというだけでなく、具体的にどのような点が他のユーザーから評価され、逆にどのような問題点が指摘されているのか、具体的なレビューコメントの内容を肯定的なものも否定的なものも両方ともよく読むことが重要です。
満足のコメントの例としては、「設定が非常に簡単だった」「期待通りの機能が実現できた」「開発者のサポートが迅速で丁寧だった」などがあります。
一方、問題点を指摘するコメントの例としては、「自分の使っているテーマとは相性が悪く、表示が崩れてしまった」「機能は良いが、サイトが少し重くなったように感じる」「アップデート後に不具合が発生した」などです。
これらの生の声は、プラグイン選択の非常に貴重な参考情報となります。
2. プラグインの「最終更新日」と「対応するWordPressのバージョン」を必ずチェックする
プラグインが最後にいつ開発者によって更新されたか、そして現在WordPressサイトで使用しているWordPressのバージョンに、そのプラグインが公式に対応しているかどうかは、プラグインの安全性と安定性を判断する上で非常に重要な確認項目です。

「最終更新日」が比較的新しいものを選ぶことを心がける
長期間にわたって全く更新されていないプラグインは、最新のWordPressのバージョンとの間に互換性の問題が生じていたり、あるいはその間に発見されたセキュリティ上の脆弱性が修正されないまま放置されていたりする可能性があります。
そのため、少なくとも数ヶ月以内、長くても1年以内にきちんと更新されているプラグインを選ぶように心がけます。
この最終更新日の確認は、間接的ではありますが、プラグインの脆弱性情報を把握する上でも役立ちます。
活発にメンテナンスされているプラグインは、脆弱性が発見された場合にも迅速に対応される可能性が高いからです。
「対応するWordPressのバージョン」を必ず確認する
WordPressサイトが現在使用しているWordPressのバージョンが、そのプラグインのダウンロードページに記載されている「対応するWordPressのバージョン」の範囲内にきちんと含まれているかを確認します。
以下のように表示されている場合は、正常に動作しないリスクがあるため、導入には特に注意が必要です。
このプラグインはWordPressの最新3回のメジャーリリースに対してテストされていません。もうメンテナンスやサポートがされていないかもしれず、最新バージョンのWordPressで使用した場合は互換性の問題が発生する可能性があります。
3. 「有効インストール数」もプラグインの信頼性を測る目安の一つとなる
そのプラグインが、現在世界中でどれくらいの数のWordPressサイトで実際に有効化されて使われているかを示す「有効インストール数」も、そのプラグインの人気度と信頼性を測るための一つの目安となります。

一般的に、この有効インストール数が多いプラグイン、数十万以上、あるいは数百万以上といった規模のプラグインは、それだけ多くのユーザーに長期間にわたって支持され、様々なWebサーバー環境や他のプラグインとの組み合わせで広くテストされている可能性が高いと言えます。
ただし、有効インストール数がまだ少ないからといって、必ずしもそのプラグインの品質が低いというわけではありません。
新しく公開されたばかりの非常に優れたプラグインも当然存在しますので、この有効インストール数は、あくまでレビュー、最終更新日など他の評価要素と合わせて総合的に判断するための一つの参考情報として捉えるのが良いでしょう。
4. プラグインの作者(開発者)の信頼性とサポートフォーラムの活動状況を確認する
プラグインの作者(開発者)に関する情報もチェックする
プラグインのダウンロードページには、通常、そのプラグインを作成した作者(個人または企業)の名前や、作者のWebサイトへのリンクなどが記載されています。
もし、その作者が他にも多くの評価の高いプラグインを開発・公開していたり、開発者向けのフォーラムやイベントなど、WordPressの公式コミュニティで積極的に活動していたりするような場合は、その作者やプラグインの信頼性の一つの指標となり得ます。
サポートフォーラムの活動状況を確認する
WordPress公式プラグインディレクトリには、各プラグイン専用の「サポート」リンクがあり、そこからそのプラグインに関するユーザーからの質問や不具合報告、そしてそれらに対するプラグインの作者や他のユーザーからの回答といったやり取りが閲覧できるサポートフォーラムにアクセスできます。
このフォーラムで、ユーザーからの質問に対してプラグインの作者や他のユーザーがどれくらいの頻度で、そしてどれだけ丁寧に対応しているかといった活動状況を確認すると、そのプラグインのサポートの質や、万が一問題が発生した際の解決への積極性などをある程度推測することができます。
活発なフォーラムは、プラグインがきちんとメンテナンスされている証でもあります。

5. プラグインの入れすぎは危険!本当に必要な機能だけを厳選し、「軽量化」を意識する
WordPressのプラグインは非常に便利なので、「あれもこれも便利そう!」「この機能も追加したい!」と、ついつい多くの種類のプラグインをインストールして有効化したくなる気持ちはよく分かります。
しかし、これはできる限り避けるべき行動であり、慎重な判断が必要です。
プラグインの軽量化という観点からも、Webサイトに導入するプラグインの数は、本当に必要最小限に抑えるのが理想的です。
プラグインの数が増えることによって潜在的に発生しやすくなる問題
- Webサイトが実行しなければならないプログラムの処理量が全体的に増えるため、ページの表示速度が低下しやすくなります。
- インストールしているプラグイン同士が、お互いの機能やプログラムコードと干渉し合い(競合し)、予期せぬ不具合を引き起こすリスクが高まります。
- 管理しなければならないプラグインの数が増えるため、それぞれのプラグインのアップデート作業や、セキュリティ設定の確認といった、日々のメンテナンスの手間が増大します。
その機能が本当にWebサイトに不可欠かを見極める
新しいプラグインを導入しようとする際には、そのプラグインが提供する機能が、本当にWebサイトの目的達成や、訪問者の利便性向上にとって不可欠なものなのか、あるいは他の方法で代替できないのかを、一度立ち止まってよく考えましょう。
代替できる他の方法としては、例えば、WordPressの標準機能で実現できないか、現在使用しているテーマに同様の機能が既に備わっていないか、手動で対応できないかなどです。
使用していないプラグインは、単に「停止(無効化)」するだけでなく、必ず「削除」する
過去にインストールしたものの、結局あまり使っていないプラグインや、テスト目的で一時的に導入しただけのプラグインは、単にWordPressの管理画面で「停止(無効化)」しただけでは、そのプラグインのファイルはまだサーバー上に残ったままの状態です。
これらの使われていないプラグインファイルも、潜在的なセキュリティリスクになったり、Webサイトのバックアップサイズを無駄に大きくしたりする可能性があるため、完全に不要になったプラグインは、必ずWordPressの管理画面から「削除」して、サーバーからファイルを取り除くようにします。
「プラグインは、機能はできるだけシンプルで最小限に、しかしその効果は最大限に」という考え方を基本としましょう。
つまり、安定したサイトパフォーマンスと強固なセキュリティを維持しながら、WordPressサイトを長期的に成功へと導くための重要な秘訣は、WordPressサイトの目的達成に本当に必要な機能を提供するプラグインだけを、上記の選び方のポイントを踏まえながら慎重に厳選して導入することです。
WordPressプラグインのインストール・有効化・設定・更新・削除の基本手順
それでは、実際に選んだプラグインを、WordPressサイトに導入し、そして日々の運営の中で管理していくための、基本的な操作手順をステップごとに見ていきましょう。
管理画面から公式ディレクトリのプラグインを検索・インストールする方法
WordPressの公式サイトに登録されている、数多くの無料プラグインは、WordPressサイトの管理画面から直接、非常に簡単な操作で検索してインストールすることができます。
1. 「プラグイン」メニューから「プラグインを追加」画面へアクセスする
WordPressの管理画面にログインし、画面左側にあるメインナビゲーションメニューの中から「プラグイン」という項目にマウスカーソルを合わせるか、または「プラグイン」自体をクリックします。すると、いくつかのサブメニューが表示されるので、その中から「プラグインを追加」を選択します。

2. キーワードを使って目的のプラグインを検索する
「プラグインを追加」というタイトルの画面が表示されたら、画面の右上にある「プラグインの検索」窓に、探しているプラグインの正確な名称や、あるいは追加したい機能に関連するキーワード(contact form、seo、backup、security、image optimizerなど英語の方がヒットしやすいです)を入力します。
キーワードを入力すると、WordPressが公式プラグインディレクトリを検索し、関連するプラグインがカード形式で一覧表示されます。
3. プラグインの詳細情報を確認し、「今すぐインストール」ボタンをクリックする
検索結果の一覧の中から気になるプラグインが見つかったら、詳細情報を確認します。
そのプラグインのカード内にある「詳細情報」というリンク、またはプラグイン名をクリックすると、ポップアップウィンドウ(モーダルウィンドウ)が表示され、そのプラグインに関するより詳しい説明、レビューなど、詳細な情報を確認することができます。
ここで、前述した「プラグインの選び方の重要な5つのポイント」に基づいて、そのプラグインが信頼できるものであり、かつWebサイトのニーズに本当に合っているかどうかを、最終的にしっかりと確認します。
内容を確認し、問題がないと判断したら、そのプラグインのカード右下にある「今すぐインストール」ボタンをクリックします。

このボタンをクリックすると、WordPressが自動的にそのプラグインのプログラムファイルを公式ディレクトリからダウンロードし、WordPressにインストールしてくれます。
インストール作業が正常に完了すると、ボタンの表示が「有効化」ボタンに変わります。
有料プラグイン等のZIPファイルをアップロードしてインストールする方法
購入したWordPressプラグインや、WordPressの公式プラグインディレクトリ以外、例えば、プラグイン開発者の公式サイトや、専門的なプラグインを販売しているマーケットプレイスなどから入手したプラグインは、通常、プラグインの名称.zip といった、ZIP(ジップ)という形式で圧縮されたファイルで、パソコンににダウンロードします。
このようなZIPファイル形式で提供されるプラグインをWordPressサイトにインストールする場合は、以下の手順で行います。
1. インストールしたいプラグインのZIPファイルを手元に準備する
まず、プラグインを購入した販売サイトなどから、インストールしたいプラグインのZIPファイルをパソコンにダウンロードしておきます。このZIPファイルは、解凍せずにそのままの圧縮された状態で使います。
2. WordPressの管理画面からプラグインファイルをアップロードする
WordPressサイトの管理画面にログインし、「プラグイン」→「プラグインを追加」画面を開きます。
「プラグインを追加」画面の上部にある「プラグインのアップロード」というボタンをクリックします。

「ファイルを選択」ボタンが表示されるので、このボタンをクリックし、先ほどパソコンにダウンロードしておいた、インストールしたいプラグインのZIPファイルを指定します。
正しいZIPファイルが選択されていることを確認したら、「今すぐインストール」ボタンをクリックします。ZIPファイルがアップロードされて、Webサイトにインストールされます。この処理には、ZIPファイルのサイズやインターネット回線速度、サーバーの環境などによって、少し時間がかかる場合があります。
プラグインの有効化と各種設定画面へのアクセス方法
WordPressにプラグインをインストールしただけでは、まだそのプラグインが提供する機能はWebサイトで利用できるようにはなりません。
インストール作業の後、そのプラグインを「有効化」することで、初めてそのプラグインの機能が有効になり、WordPressサイト上で実際に使えるようになります。
プラグインのインストール作業が正常に完了した直後に表示される画面で、「有効化」ボタンをクリックします。
あるいは、WordPressの管理画面の左側メニュー「プラグイン」の中の「インストール済みプラグイン」という一覧画面を開くと、インストールされている全てのプラグインがリスト形式で表示されます。
その中から、今回新しくインストールして有効化したいプラグインを見つけ、そのプラグイン名の下に表示されている「有効化」というテキストリンクをクリックします。

プラグインを無事に有効化すると、そのプラグインによっては、WordPressの管理画面のメインナビゲーション(左側のメニュー)に、そのプラグイン専用の設定メニューが新しく追加されたり、あるいは既存の「設定」メニューや「ツール」メニューの中に、そのプラグイン用のサブメニューとして設定項目が追加されたりします。
各プラグインの具体的な設定方法については、そのプラグインの公式サイトに掲載されているドキュメントやFAQ、管理画面内の設定ページに表示される指示、あるいは多くのプラグインでは初回有効化時に表示される設定ウィザードなどに従って、状況や目的に合わせて必要な設定を行います。
プラグインの安全な更新手順と自動更新設定の注意点
WordPressの本体ソフトウェアやテーマと同様に、インストールして利用しているプラグインも、機能の改善、新しい機能の追加、そして何よりもセキュリティ上の脆弱性の修正などのために、開発者によって定期的にアップデート版がリリースされます。
これらのアップデートを適用し、プラグインを常に最新の状態に保つことは、Webサイトのセキュリティを維持し、安定した動作を確保するために非常に重要です。
アップデートの通知
インストールされているプラグインに、利用可能な新しいアップデートがある場合、WordPressの管理画面の「プラグイン」メニューの横や、「ダッシュボード」の「更新」セクション、「インストール済みプラグイン」の一覧画面などに、アップデートがあることを示す通知が表示されます。
手動での更新方法
「更新」ページから、または、「インストール済みプラグイン」の一覧画面で、アップデートが必要なプラグインの下に表示されている「今すぐ更新」リンクをクリックするだけで、WordPressが自動的に最新バージョンのプラグインファイルをダウンロードし、更新作業を実行してくれます。非常に簡単です。
自動更新機能についての注意点
WordPressには、プラグインを自動的にバックグラウンドで更新する機能も備わっています。この自動更新機能は、プラグインごとに有効にするか無効にするかを選択できます。
自動更新は、常にプラグインを最新の状態に保てるという大きなメリットがありますが、その一方で、万が一、あるプラグインのアップデートによって、他のプラグインや現在使用しているテーマとの間で互換性の問題が発生し、Webサイトが表示されなくなったり、ある機能が動作しなくなるなど、Webサイトに予期せぬ不具合が生じてしまう可能性もゼロではありません。
そのため、特に重要なWebサイトを運営している場合や、多くの種類のプラグインを利用している場合は、プラグインの自動更新機能の利用は慎重に検討し、基本的には手動で更新を行い、そしてどのような場合であっても更新作業の前には必ずサイト全体のバックアップを取るという手順を習慣にすることを強く推奨します。
ただし、セキュリティ関連のプラグインなど、常に最新の状態を保つことが極めて重要なものについては、そのリスクを十分に理解した上で、自動更新を有効にすることを検討しても良いでしょう。
不要になったプラグインの正しいアンインストール(削除)方法
使わなくなったプラグインや、テスト目的で一時的に導入しただけのプラグインは、Webサイトのパフォーマンスを維持したり、潜在的なセキュリティリスクを減らしたりするためにも、きちんとWordPressから削除しておくことが大切です。
プラグインの停止(無効化)
まず、WordPressの管理画面にログインし、「プラグイン」メニューの中の「インストール済みプラグイン」の一覧画面を開きます。
その一覧の中から、削除したいプラグインを見つけ、そのプラグイン名の下に表示されている「無効化」リンクをクリックします。この操作により、そのプラグインの機能が一時的に停止されます。
プラグインの削除
プラグインを「無効化」すると、同じ場所に今度は「削除」という赤いテキストリンクが表示されるようになります。この「削除」リンクをクリックします。
「本当に[プラグイン名]を削除してもよいですか?」と確認メッセージが表示されるので、問題がなければ、「OK」をクリックします。すると、そのプラグインの全てのファイルが完全に削除されます。
非常に重要な注意点
プラグインを単に「無効化」つまり停止しただけでは、機能は停止しますが、プラグインのプログラムファイル自体はまだサーバー上に残ったままの状態です。
完全に不要になったプラグインは、必ずこの「削除」の手順まで行い、サーバーから関連する全てのファイルを確実に取り除くようにします。
これにより、Webサイトの不要なデータが整理され、セキュリティリスクも低減できます。
【2025年版】WordPress初心者におすすめ必須プラグイン10選と使い方
世の中には文字通り数え切れないほどのWordPressプラグインが存在し、その中から本当にWebサイトに必要なもの、そして安全で質の高いものを選ぶのは、特に初心者の方にとっては大変な作業かもしれません。
そこでここでは、特に2025年の情報として、WordPressを始めたばかりの初心者の方が、まず最初に導入を検討しておくと非常に便利で、Webサイト運営を様々な面から力強くサポートしてくれる、代表的なカテゴリの【必須プラグイン 2025年版】と、その具体的なプラグイン名をいくつか、そしてそれぞれの基本的な使い方や期待できる効果についてご紹介します。
補足になりますが、ここでご紹介するプラグインは、あくまで数多くの選択肢の中の代表的な一例であり、特定のプラグインの使用を強く推奨するものではありません。
WordPressサイトの具体的な目的や、現在使用しているWordPressのテーマ、契約しているレンタルサーバーとの相性、特にキャッシュ系プラグインなどを総合的に考慮して、最適なプラグインを選んでください。
また、機能が重複するプラグインを複数同時に導入すると、Webサイトの動作が不安定になったり、予期せぬ不具合が発生したりする原因となることがあるため、できる限り避けるようにします。
1. お問い合わせフォーム作成
「Contact Form 7」「WPForms Lite」の設定と使い方
Webサイトを訪れた訪問者が、気軽に連絡を取ったり、サービスに関する質問をしたり、仕事の依頼をしたりできるようにするための「お問い合わせフォーム」は、ビジネスサイトはもちろんのこと、個人ブログであっても、多くの場合に設置しておくべき必須の機能と言えるでしょう。
代表的なプラグインの例
Contact Form 7
Contact Form 7は、日本語に完全に対応しており、非常に多くのWordPressサイトで長年にわたり利用されている、まさに「定番中の定番」と言えるお問い合わせフォーム作成プラグインです。
設定は比較的シンプルでありながら、HTMLやCSSの知識があれば、フォームの見た目や機能をかなり柔軟にカスタマイズすることも可能です。
WPForms Lite
ドラッグ&ドロップの直感的なインターフェースで、プログラミングの知識が全くなくても、初心者でも簡単に高機能で見栄えの良いお問い合わせフォームを作成できると、近年非常に人気が高まっているプラグインです。
無料版である「Lite」版でも、基本的なお問い合わせフォームを作成するためには十分な機能が備わっています。
お問い合わせフォームプラグインの基本的な使い方
一般的に、これらのプラグインをWordPressサイトにインストールして有効化すると、管理画面のメインナビゲーションなどに専用のメニューが追加されます。
そこで新しいお問い合わせフォームを作成しますが、例えば、訪問者に入力してほしい項目として、氏名、メールアドレス、件名、メッセージ本文などを設定し、フォームが作成されると、そのフォームを表示するための「ショートコード」が発行されます。
発行されるショートコードは[contact-form-7 id="123" title="コンタクトフォーム1"]や[wpforms id="456"]のような、角括弧で囲まれた短い特別なコードです。
この発行されたショートコードを、お問い合わせフォームを表示させたい固定ページ、例えば「お問い合わせ」ページの本文中の適切な場所に貼り付けるだけで、Webサイト上にお問い合わせフォームが正しく表示されるようになります。
さらに、お問い合わせフォームのカスタマイズも、各プラグインが提供している設定画面やオプション、使用中のテーマのCSS(カスケーディング・スタイルシート)を編集することで、ある程度可能です。
例えば、フォームの項目の追加や削除、必須入力の設定、送信ボタンの文言変更、フォーム送信後の自動返信メールの内容設定、Webサイトとマッチするデザインなどが行えます。
2. SEO内部対策
「Yoast SEO」「All in One SEO Pack」の設定と使い方
WordPressサイトや記事を、GoogleやYahoo!といった検索エンジンからの評価を高め、検索結果でより多くの人の目に触れる機会を増やすためには、SEO(検索エンジン最適化)対策が欠かせません。
これらのプラグインは、WordPressサイトのSEO内部対策、つまり、Webサイトの内部構造やコンテンツ自体を検索エンジンに最適化するための施策を、総合的・効率的にサポートしてくれる非常に強力なツールです。
代表的なプラグインの例
Yoast SEO
世界中で非常に多くのWordPressサイトで利用されており、最も人気があり、かつ高機能な総合SEOプラグインの一つです。
記事あるいはページごとに、検索結果に表示されるタイトルや記事の概要文を細かく設定したり、ターゲットとするキーワードに対してコンテンツがどれくらい最適化されているかを分析して具体的な改善点を提案してくれたり、コンテンツの可読性をチェックしてくれたりする機能などがあります。
All in One SEO Pack (AIOSEO)
こちらも非常に長く使われている、WordPressの定番総合SEOプラグインの一つです。
検索エンジンにサイト構造を伝えるためのXMLサイトマップの自動作成機能や、SNSでのシェア時の表示を最適化するOGP設定機能なども標準で統合されています。
SEOプラグインの基本的な使い方
これらのプラグインをインストールして有効化すると、大抵は、最初に対話形式でいくつかの質問に答えていくだけで、基本的な推奨設定が自動的に行われる簡単な設定ガイドである、初期設定ウィザードが表示されるので、まずはそれに従って基本的な設定を行います。
その後は、主に記事の編集画面で、各記事ごとにSEOタイトルやメタディスクリプションを、ターゲットとするキーワードを意識しながら最適化していく作業が中心となります。
例えば、Yoast SEOでは、設定したキーワードに対して、記事のタイトルや本文中にそのキーワードが適切に使用されているか、画像のalt属性は設定されているか、内部リンクや外部リンクは適切かといった点を分析し、改善のための具体的なアドバイスを信号機の色(緑=良い、黄=改善の余地あり、赤=問題あり)で分かりやすく示してくれる機能などがあり、初心者の方でもSEOを意識した質の高い記事作成に取り組みやすくなっています。
SEOプラグインの具体的な設定詳細としては、XMLサイトマップ機能の有効化、Google Search Consoleとの連携設定、パンくずリストの表示設定、OGPタグの出力設定などソーシャルメディア設定といった項目を、プラグインのドキュメントを参考にしながら確認・設定していくと良いでしょう。
3. セキュリティ強化
「SiteGuard WP Plugin」「Wordfence Security」の設定と使い方
WordPressは世界中の非常に多くのWebサイトで使用されているため、残念ながら悪意のある第三者による不正アクセスやサイバー攻撃の標的にもなりやすいという側面があります。
そのため、専用のセキュリティ対策プラグインを導入し、大切なWordPressサイトを様々なオンライン上の脅威から強固に保護することが非常に重要です。
いくつかの主要なセキュリティプラグインを比較検討し、Webサイトの状況や、求めるセキュリティのレベルに最も合ったものを選びます。
代表的なプラグインの例
SiteGuard WP Plugin
日本の企業(EGセキュアソリューションズ)が開発・提供している、WordPress向け総合セキュリティ対策プラグインです。
特に、WordPressのログイン関連のセキュリティ強化機能、例えば、ログインページのURLをデフォルトのものから変更する機能、コメント投稿時やログイン試行時にひらがなの画像認証を要求する機能、一定回数ログインに失敗したIPアドレスからのアクセスを一時的にブロックするログインロック機能などが充実しており、日本のWordPressサイト運営環境に合わせた、複数の実践的なセキュリティ機能を、比較的簡単な設定で手軽に導入できます。
日本語のドキュメントも充実しており、初心者にも比較的扱いやすいのが大きな特徴です。
Wordfence Security
世界中で非常に多くのユーザーを持つ、高機能で強力な海外製の総合セキュリティプラグインです。
悪意のあるトラフィックを検知・ブロックするWebアプリケーションファイアウォール(WAF)機能、サイト内のファイルをスキャンして不正なコードやマルウェアが潜んでいないかをチェックするマルウェアスキャン機能、総当たり式のパスワード解読攻撃であるブルートフォースアタックからの保護機能などが非常に充実しています。
無料版でも多くの重要な機能が利用でき、有効に活用できますが、リアルタイムの脅威情報フィードなどより高度な機能は有料版での提供となります。
セキュリティプラグインの基本的な使い方
これらのプラグインをインストールして有効化すると、多くの場合、推奨される基本的なセキュリティ設定が自動的に適用されたり、簡単な設定ウィザードが表示されたりします。
例えば、SiteGuard WP Pluginであれば、ログインページのURL変更や画像認証の設定は、初心者でも迷わずに行えるでしょう。
Wordfence Securityであれば、ファイアウォールの学習モードの開始や、定期的なマルウェアスキャンのスケジュール設定などを行います。
また、これらのプラグインを利用して、WordPressの管理画面へのログイン時に、ユーザー名とパスワードに加えて、スマートフォンアプリなどで生成される一時的な確認コードの入力を必須にする認証方式である、二段階認証を設定することも、不正アクセス対策として非常に有効ですので、ぜひ導入を検討しましょう。
4. 自動バックアップ
「UpdraftPlus」「BackWPup」の設定と使い方
万が一のサーバー障害、うっかりとした誤操作による重要なデータの削除、悪意のある第三者によるWebサイトの改ざんといった、予期せぬ不測の事態に備えて、WordPressサイトの全てのデータを、定期的かつ自動的に安全な場所にバックアップしておくことは、Webサイト運営における絶対的な必須事項であり、いわば「保険」のようなものです。
バックアッププラグインの使い方の重要なポイントは、単にバックアップデータを取得するだけでなく、そのバックアップデータから正しくWebサイトを元の状態に復元できるかを確認すること、そしてバックアップデータを、WordPressがインストールされているサーバーとは物理的に異なる、安全な外部の場所に複数保管することです。
代表的なプラグインの例
UpdraftPlus
WordPressのバックアッププラグインとして非常に人気が高く、多くのWebサイトで利用されている定番中の定番の一つです。
手動でのバックアップはもちろんのこと、データベースとファイルを区別した詳細なスケジュールを設定して、Webサイト全体のバックアップを自動で実行する機能があります。
また、取得したバックアップデータを、Dropbox、Google Drive、Amazon S3、Microsoft OneDriveといった、主要な外部のクラウドストレージサービスに自動的にアップロードして保存することも簡単に行えます。
無料版でも非常に高機能です。
BackWPup
こちらも非常に多くのユーザーに長年利用されている、人気の高いバックアッププラグインです。
バックアップの対象、スケジュール、保存先などを組み合わせた詳細なバックアップジョブのスケジュール設定や、FTPサーバー、各種クラウドストレージサービス、メール添付など、多様なバックアップ先の選択肢に対応しています。
バックアッププラグインの基本的な使い方
プラグインをインストールして有効化したら、例えば、データベースは毎日深夜に、Webサイト全体は毎週日曜日の深夜になど、まずバックアップのスケジュールと、バックアップデータの保存先を設定します。
設定が完了すれば、あとはプラグインが自動的にスケジュール通りにバックアップを実行してくれます。
しかし、最も重要なのは、バックアップを取っているという事実に安心するだけでなく、実際にその取得したバックアップデータから、WordPressサイトを正しく元の状態に復元できるかどうかを、事前にテスト用の環境などで試しておくことです。
いざという時に復元手順が分からなかったり、バックアップデータが何らかの理由で破損していて復元できなかったりしては、バックアップを取っていた意味がなくなってしまいます。
5. 画像自動圧縮・最適化
「EWWW Image Optimizer」「Smush」の設定と使い方
WordPress記事に多くの高画質な画像を使用することは、訪問者にとって非常に魅力的で、記事の内容を豊かにする上で効果的ですが、その一方で、画像のファイルサイズが大きいと、Webページの読み込み速度を著しく低下させてしまう大きな原因となります。
Webサイトの表示速度を改善し、訪問者に快適な閲覧体験を提供するためには、記事に使用する画像をアップロードする際に、画質をできるだけ損なうことなくファイルサイズを自動的に圧縮・最適化してくれる専用のプラグインを導入することが非常に効果的です。
これらの画像最適化プラグインがもたらす具体的な効果は、ページの表示速度向上によるユーザー体験の改善だけでなく、検索エンジンからの評価(SEO)にも直接良い影響を与えます。
代表的なプラグインの例
EWWW Image Optimizer
設定が比較的簡単で、新しくWordPressにアップロードする画像だけでなく、既にアップロード済みの画像も、管理画面から一括で最適化処理を行うことができる機能があります。
また、JPEGやPNGといった従来の画像形式だけでなく、より圧縮率の高い次世代フォーマットであるWebP形式などへの自動変換機能を備えている点も大きな特徴です。
Smush
こちらも非常に人気のある画像最適化プラグインで、直感的なインターフェースが特徴です。
無料版でも多くの画像を、画質の劣化を抑えながら効果的な圧縮を行うことができます。また、画像の遅延読み込み(Lazy Load)機能も搭載しています。
画像最適化プラグインの基本的な使い方
多くの場合、これらのプラグインは、インストールして有効化するだけで、WordPressのメディアライブラリに新しい画像をアップロードするたびに、バックグラウンドで自動的にその画像の最適化処理を行ってくれます。
特別な設定はほとんど不要な場合が多いですが、必要に応じて、プラグインの設定画面で圧縮レベルや、最適化する画像の種類などを細かく調整することも可能です。
6. 目次自動生成
「Table of Contents Plus」「Easy Table of Contents」の設定と使い方
特に情報量が多く、複数のセクションに分かれるような長い記事を作成した場合、記事の冒頭部分にその記事全体の「目次」があると、読者は記事の全体像や構成をひと目で素早く把握しやすくなります。
また、読者が特に読みたいと思っている箇所へ、目次のリンクをクリックするだけで簡単にジャンプすることができるため、ユーザビリティ(Webサイトの使いやすさ)が大きく向上します。
代表的なプラグインの例
Table of Contents Plus (TOC+)
長年にわたり非常に多くのWordPressサイトで利用されてきた、目次自動生成プラグインの定番中の定番です。
記事内の見出しタグ(H2、H3、H4など)を自動的に抽出し、それらを元に階層化された美しい目次を作成してくれます。
Easy Table of Contents
こちらも非常に人気があり、多くのユーザーに支持されている目次プラグインです。
目次を表示する位置やデザイン、どのレベルの見出しまでを目次に含めるかといった詳細な設定を、管理画面から直感的に行うことができるのが大きな特徴です。
目次プラグインの基本的な使い方
プラグインをインストールして有効化し、そのプラグインの設定画面で、「記事内に見出しが〇個以上存在する場合に自動的に目次を表示する」など、目次を表示する条件や、目次のデザイン、目次に含める見出しの階層レベルなどを設定します。
通常は、記事を作成する際に、適切な見出しタグ(H2~H4など)を正しく、そして論理的な階層構造で使用していれば、これらのプラグインが自動的に美しい目次を生成し、指定した位置に表示してくれます。
7. XMLサイトマップ作成・送信
「XML Sitemap Generator for Google」「SEOプラグイン付属機能」の設定と使い方
XMLサイトマップとは、WordPressサイト内にどのようなページが存在し、それぞれのページがいつ最終更新されたかといった情報を、Googleなどの検索エンジンに対して分かりやすく伝えるための、XMLという形式で記述される一覧リストのようなファイルのことです。
このXMLサイトマップを検索エンジンに送信することで、検索エンジンがWebサイトの新しいコンテンツや更新されたコンテンツを、より効率的かつ網羅的に発見し、Webページ情報を収集・巡回(クロール)して、検索エンジンのデータベースに登録(インデックス)するのを手助けします。
代表的なプラグインの例、または代替手段
XML Sitemap Generator for Google
以前はXMLサイトマップの生成と更新に特化した、長年定番とされてきた専用プラグインでした。
ただし、近年では他の総合SEOプラグインにその役割が吸収されつつあり、利用の際はプラグインの最終更新日や評価などを改めて確認することをおすすめします。
「Yoast SEO」「All in One SEO Pack」などの総合SEOプラグインに標準搭載されている機能
現在では、この講座で既にご紹介したYoast SEOやAll in One SEO Packといった、主要な総合SEO対策プラグインのほとんどに、高機能なXMLサイトマップ自動作成・更新機能が標準で搭載されているのが一般的です。
そのため、これらの総合SEOプラグインを既に導入している場合は、別途XMLサイトマップ専用のプラグインをインストールする必要は通常ありません。
基本的な使い方とGoogle Search Consoleへの登録
SEOプラグインを利用している場合は、多くの場合、プラグインの設定画面でXMLサイトマップ機能を有効にする、またはデフォルトで有効になっているのを確認するだけで、WordPressが新しい記事を公開したり既存の記事を更新したりするたびに、XMLサイトマップも自動的に内容が更新されます。
生成されたXMLサイトマップのURL(https://ドメイン/sitemap.xml、https://ドメイン/index.xmlといった形式のURL)を、Google Search Console(グーグルサーチコンソール)という、Googleが無料で提供しているWebサイト管理者向けのツールに登録・送信することで、GoogleにWebサイトの完全な構造をより効果的に、そして迅速に伝えることができます(Google Search Consoleの導入と基本的な使い方については、この講座の第9回で詳しく解説します)。
8. スパムコメント対策
「Akismet Anti-spam: Spam Protection」の設定と使い方
WordPressサイトでコメント機能を開放していると、残念ながら、記事の内容とは全く関係のない広告宣伝目的のコメントや、海外からの自動プログラム(ボット)によって投稿される意味不明な大量のコメント、すなわち「スパムコメント」や「迷惑コメント」が、日々投稿されてくることがあります。
代表的なプラグイン
Akismet Anti-spam: Spam Protection
WordPressをインストールすると標準で同梱されていることが多い、非常に強力で信頼性の高いスパムコメント対策プラグインです。WordPressの開発元であるAutomattic社が提供しています。
スパムコメント対策プラグインの基本的な使い方
このプラグインを有効化すると、Akismetのウェブサイトで「APIキー」という特別な認証コードを取得し、WordPressサイトのAkismet設定画面でそのAPIキーを入力する必要があります。
個人利用のブログを運営している場合は、このAPIキーは無料で取得できます。
設定が完了すれば、Akismetが世界中の膨大なスパムデータベースとリアルタイムで照合し、Webサイトに投稿されたコメントがスパムコメントであるかどうかを自動的に高い精度で判定し、スパムと判定されたものを専用の「スパム」フォルダに自動的に振り分けてくれます。
9. キャッシュ系プラグイン
「LiteSpeed Cache」「WP Fastest Cache」などの選び方と注意点
キャッシュとは、一度アクセスしたWebページのデータ、例えば、HTMLファイル、画像ファイル、CSSファイル、JavaScriptファイルなどを、訪問者のWebブラウザや、Webサイトが設置されているサーバー上に一時的に保存しておき、次回以降に同じページへアクセスがあった際に、その保存されたデータを再利用することで、ページの表示を高速化するための仕組みです。
キャッシュプラグインのおすすめ設定を考える上での最も重要なポイントは、まず第一に、現在利用しているレンタルサーバーとの相性を最優先に考えることです。
代表的なプラグインの例
LiteSpeed Cache
利用しているレンタルサーバーが「LiteSpeed Webサーバー」という種類の、特に高速な処理性能を持つWebサーバーソフトウェアを採用している場合、この「LiteSpeed Cache」プラグインは非常に高いキャッシュ効果を発揮します。
LiteSpeedを採用しているレンタルサーバーとしては、例えば、mixhostやロリポップ!のハイスピード・エンタープライズプランなどです。どちらも第2回「WordPress向けレンタルサーバーおすすめ5選!初心者向け徹底比較と始め方ガイド」で紹介しています。
単なるページキャッシュだけでなく、オブジェクトキャッシュやブラウザキャッシュの制御、画像の遅延読み込み(Lazy Load)、データベースの最適化など、Webサイト高速化に関する多くの機能を統合的に備えています。
WP Fastest Cache
設定項目が比較的シンプルで分かりやすく、特にWordPress初心者の方にも扱いやすいと評判のキャッシュプラグインです。無料版でも十分なページキャッシュ機能やブラウザキャッシュ機能などを提供しています。
W3 Total Cache
非常に高機能で、キャッシュに関する詳細な設定を多岐にわたって行うことができますが、その反面、設定項目が非常に多く、専門的な知識もある程度必要となるため、どちらかというとWordPressの運用に慣れた中~上級者向けのキャッシュプラグインと言えます。
キャッシュ系プラグインを選ぶ上での重要な注意点
何よりもまず、利用しているレンタルサーバーとの相性が最も重要です。 例えば、エックスサーバーやConoHa WINGといった一部のレンタルサーバーでは、そのサーバー環境に最適化された独自のキャッシュ機能が最初から提供されていたり、あるキャッシュプラグインの利用を公式に推奨していたりする場合があります。
そのような場合は、無理に他のキャッシュプラグインを導入しようとせず、まずはサーバー会社が推奨する方法やプラグインを利用するのが、最も効果的で、かつ安全な選択となることが多いです。必ず、契約しているレンタルサーバーのマニュアルや公式サイトのヘルプ情報を確認しましょう。
キャッシュ系のプラグインは、WordPressサイトの仕組みに深く関わる動作をするため、複数種類のキャッシュ系プラグインを同時に導入・有効化すると、互いに機能が競合して、Webサイトの表示がおかしくなったり、最悪の場合Webサイトにアクセスできなくなったりする深刻な不具合を引き起こす原因になります。
キャッシュ系プラグインは、必ず1種類だけに絞って利用するか、もしくはレンタルサーバーが推奨する方法に従ってください。
また、キャッシュ系プラグインの設定を誤ると、例えばWebサイトの内容を更新したにもかかわらず、訪問者には古いキャッシュされた情報が表示され続けてしまったり、一部の機能が正常に動作しなくなったりすることもあるため、導入・設定は慎重に行い、必ず設定を変更した後は、Webサイトの表示や動作に問題がないかを、複数のブラウザやデバイスで入念に確認するようにします。
10. リダイレクト設定
「Redirection」の設定と使い方
WordPressサイトを長期間運営していると、例えば過去に公開した記事のURLすなわちパーマリンクを、後から変更したくなったり、特定のページを削除したり、Webサイト全体の構造を大幅に見直してページのURL(パーマリンク)が変わったりすることがあります。
そのような場合に、古いURLにアクセスした訪問者や検索エンジンを、新しい適切なURLへ自動的に転送するための設定、すなわちリダイレクトの設定が必要になります。
このリダイレクトの設定を怠ると、訪問者は「404 Not Found(お探しのページは見つかりませんでした)」というエラーページに遭遇してしまい、Webサイトから離脱してしまう大きな原因になりますし、SEOの観点からもマイナスの影響があります。
代表的なプラグイン
Redirection
WordPressサイトでリダイレクト設定を管理するための、非常に高機能で長年定番とされてきたプラグインです。
例えば、恒久的なページの移転を示す「301リダイレクト」や、一時的なページの移転を示す「302リダイレクト」といった種類のリダイレクトを、個別のURLごとにWordPressの管理画面から簡単に設定することができます。
また、Webサイトで発生した404エラーを記録、つまり、訪問者が存在しないページにアクセスしようとしたことを記録し、そのエラーが発生したURLから新しいページへのリダイレクト設定を簡単に行う機能なども備えています。
基本的な使い方
プラグインをインストールして有効化すると、通常、管理画面の「ツール」メニューに項目が追加されます。そこで、転送元の古いURL(ソースURL)と、転送先の新しいURL(ターゲットURL)を指定し、リダイレクトの種類、通常は301リダイレクトを選択し、新しいリダイレクトルールを作成します。
これらのプラグインは、あくまで数多く存在するWordPressプラグインの中の代表的な一例です。WordPressサイトに本当に必要な機能は何かをじっくりと考え、この記事でご紹介した「プラグインの選び方のポイント」を参考にしながら、慎重に、そして戦略的にプラグインを選んで導入するように心がけてください。
次回予告:サイトの「部品」メディアを上手に管理・活用しよう!
お疲れ様でした!第7回では、WordPressサイトを格段に便利で、そして強力なものへとパワーアップさせるための「プラグイン」という素晴らしい機能について、その基本的な役割から、安全な選び方、具体的な使い方、そして初心者の方におすすめの代表的なプラグインまでを詳しくご紹介しました。
これらの知識を活かせば、WordPressサイトも、ただ情報を発信するだけの場所ではなく、より機能的で、訪問者にとっても格段に使いやすく、そしてWebサイト運営者であるあなたにとっても管理しやすい、素晴らしいプラットフォームへと進化させることができるはずです。
さて、これまで記事の内容そのものの作成方法や、Webサイトの全体的な機能面の強化といった点に焦点を当ててきましたが、訪問者にとって本当に魅力的で分かりやすいサイトを作るためには、質の高い文章だけでなく、記事の内容を効果的に補足し、視覚的に豊かにする画像や、より多くの情報をダイナミックに伝えることができる動画といった「メディア」の効果的な活用も、絶対に欠かせない要素です。
次回、第8回「記事が華やぐ!画像や動画をWordPressで効果的に使う方法」では、WordPressの、Webサイトで使う画像や動画などのファイルを一元的に管理する場所であるメディアライブラリの基本的な使い方から始めていきます。
そして、記事への画像の挿入や簡単な編集方法、複数の画像を美しく見せるためのギャラリーの作成テクニック、YouTubeなどの外部サービスの動画を記事に効果的に埋め込む方法、さらには、Webサイトの表示速度にも大きく関わってくる、非常に重要な画像の最適化、例えばファイルサイズの圧縮や適切なフォーマットの選択などに関する実践的なヒントまで、WordPressでメディアファイルを効果的に活用し、記事をさらに魅力的なものにするための具体的な方法を徹底解説します。
記事を、単なる文字情報の羅列から、視覚的にも豊かで、読者の心に深く残る素晴らしいコンテンツへと進化させるためのテクニックを、一緒に学んでいきましょう。
どうぞお楽しみに!