WordPressマスターへの道 8 – 初心者向け全10回講座
視覚的魅力で読者を惹きつける!WordPressメディア活用術の全て
前回の講座では、WordPressの「プラグイン」という強力な武器を手に入れ、Webサイトの機能性を飛躍的に向上させる方法を学びましたね。これで、WordPressサイトは、より多機能で、よりユーザーフレンドリーなプラットフォームへと進化を遂げていることでしょう。
さて、魅力的なWebサイトを構築し、多くの読者の心を掴むためには、質の高い文章コンテンツだけでなく、「画像」や「動画」といったメディアによって、視覚的・聴覚的に訴えることをいかに効果的に活用するかが、非常に重要な鍵となります。
適切な画像は、複雑な情報も瞬時に読者の理解を助け、記事全体の印象を明るく、そしてプロフェッショナルに彩ります。
また、動画は、より多くの情報をダイナミックかつ分かりやすく伝えるための強力な手段です。
例えば、記事一覧やSNSのタイムラインで最初に目にする効果的なアイキャッチ画像一枚が、その記事が読まれるかどうかのクリック率を劇的に左右することさえあるのです。
「でも、WordPressでたくさんの画像や動画を扱うとなると、サイトが重くなったりしないかな?」
「画像の最適なサイズやファイル形式って、どう考えればいいのだろう?」
「Webサイトで自由に使って良い画像って、どこで手に入れられるの?著作権フリーの画像サイトってどんなところがあるの?」
「作成した資料のPDFファイルを記事に直接埋め込んで表示させることはできるのかな?」
このようなメディア活用に関する具体的な疑問や、技術的な不安を抱えている初心者の方も少なくないでしょう。
そして、これらのリッチなメディアコンテンツを快適に訪問者に届け、サイト全体のパフォーマンスを維持するためには、それを支えるWebサイトの基盤、つまり十分なディスク容量と表示速度性能を備えたレンタルサーバーの選択がいかに重要かという点も、自ずと見えてくるはずです。
今回の第8回では、WordPressのメディア管理機能である「メディアライブラリ」の基本的な使い方から始まり、記事への画像や動画の具体的な挿入方法、複数の画像を美しく見せるためのギャラリー作成テクニック、さらにはサイトの表示速度にも大きく関わってくる非常に重要な画像の最適化、例えば、新しい画像形式であるWebP形式への変換方法や、ページの初期表示を高速化するLazy Load設定などに関する実践的なヒントまで、WordPressでメディアファイルを効果的に活用し、Webサイトの魅力を最大限に引き出すための具体的なテクニックを徹底解説します。
画像のalt属性のSEO効果の高い書き方や、検索エンジンにも配慮したファイル名の最適化といった、細かいけれどWebサイト全体の評価に関わる重要なポイントもしっかりとカバーしていきます。
この記事を読み終える頃には、あなたも様々なメディアを自在に操り、読者の心に深く残り、かつ検索エンジンにも正しく評価される、より魅力的で分かりやすい、プロフェッショナルな記事を作成できるようになっているはずです!
この記事で学べること
この記事を最後までお読みいただくことで、WordPressサイトにおけるメディアファイルの効果的な管理と活用に関する以下の重要な知識とスキルを習得し、ご自身の記事の視覚的な魅力を飛躍的に向上させることができます。
- WordPressの「メディアライブラリ」の基本的な使い方を理解し、画像、動画、音声、そしてPDFファイルなどの様々なメディアファイルを効率的に一元管理する方法を学びます。
- 記事へ画像をアップロードする前の準備として、SEO効果も期待できるファイル名の最適化の具体的な方法や、WordPressのブロックエディタを使った画像の基本的な挿入手順、挿入後の配置や表示サイズの調整方法を習得します。
- 画像の代替テキスト(alt属性)のSEO効果の高い書き方や、タイトル、キャプションといった付加情報を適切に設定することで、検索エンジンと訪問者の両方にとって画像の価値を高める方法を理解します。
- 複数の画像を美しく効果的に見せるための「ギャラリーブロック」の作成・カスタマイズ方法や、もし標準機能で不足を感じた場合に検討できる、おすすめのギャラリープラグインの存在についても知ることができます。
- YouTubeなどの外部サービスの動画や、X(旧Twitter)などSNSの投稿を、レスポンシブ対応でWordPressの記事に簡単に埋め込む具体的な方法を学びます。
- Webサイトの表示速度を高速化し、ユーザー体験を向上させるための非常に重要な「画像最適化」のテクニックとして、具体的な画像リサイズツールの活用法、より高圧縮・高画質なWebP形式への変換方法の概要、そしてページの初期読み込みを速くするLazy Load設定の導入といった実践的な知識を身につけます。
- 記事のクリック率やSNSでの拡散に大きな影響を与える、効果的なアイキャッチ画像の重要性を再認識し、その選び方や設定のポイントを理解します。また、資料共有などに便利なPDFファイルの埋め込み方法についても具体的な手順を学びます。
- Webサイトで画像を使用する際に最も注意すべき著作権の問題について理解を深め、安心して利用できる著作権フリー画像サイトの具体的な例とその活用法を知ることができます。
WordPressのメディアライブラリとは?~画像・動画の一元管理場所~
まずは、WordPressで画像や動画、その他の様々な種類のメディアファイルを扱う上で、その中心的な役割を果たすことになる「メディアライブラリ」という非常に便利な機能について、その基本をしっかりと理解していきましょう。
メディアライブラリでできること(アップロード・編集・挿入・検索・絞り込み)
メディアライブラリとは、WordPressサイトで使用する写真、イラスト、アイコンなど全ての画像ファイル、動画ファイル、音声ファイル、そしてPDF文書といった、あらゆる種類のメディアファイルを、一元的に保存し、整理し、そして管理するための場所(機能)のことです。
WordPressの管理画面の左側メインナビゲーションメニューにある「メディア」という項目からアクセスできます。

メディアライブラリでは、主に以下のような多岐にわたる操作が可能です。
メディアファイルのアップロード
パソコンなどに保存されている画像ファイル、動画ファイル、音声ファイル、PDFファイルなどのメディアファイルを、簡単な操作WordPressサイトにアップロードすることができます。
アップロード済みファイルの包括的な一覧表示
これまでにWordPressサイトにアップロードした全てのメディアファイルが、たくさんの画像を一度に目で見て確認できるサムネイル画像形式(グリッド表示)、または詳細情報付きのリスト形式で、分かりやすく一覧表示されます。表示形式はいつでも簡単に切り替えることができます。
各メディアファイルの詳細情報の編集
アップロードしたそれぞれのメディアファイルに対し、そのファイルに関する様々な付加情報、例えば、画像のタイトル、短い説明文であるキャプション、検索エンジンやアクセシビリティにとって非常に重要な「代替テキスト」、より詳細な説明文などを編集したり、WordPressに標準で備わっている簡単な画像編集機能、例えば、画像の切り抜き(クロップ)、左右反転や上下反転、90度単位での回転、表示サイズのリサイズなどを使って、画像を直接WordPress内で修正したりすることができます。
記事や固定ページへの簡単な挿入
メディアライブラリに保存されている画像や動画、音声ファイルなどを選択し、作成・編集中の記事や固定ページの適切な場所に、ブロックエディタの機能を使って簡単に挿入することができます。
目的のファイルの効率的な検索・絞り込み
ファイル名に含まれるキーワードでメディアファイルを検索したり、アップロードした年月や、ファイルの種類で、ライブラリに表示するメディアファイルを絞り込んだりすることができます。ファイル数が増えてきても、目的のファイルを効率的に見つけ出すのに役立ちます。
不要になったファイルの安全な削除
Webサイトで使わなくなったメディアファイルや、誤ってアップロードしてしまったファイルを、WordPressサイトから完全に削除します。
このように、メディアライブラリは、WordPressサイトで使用する多種多様なメディアファイルを、効率的かつ効果的に管理するための、非常に強力でユーザーフレンドリーなツールであると言えます。
WordPressが標準でサポートするファイル形式
WordPressは、一般的に現代のWebサイトの作成や情報発信において広く使用されている、多くの種類のファイル形式を、特別な設定やプラグインの導入なしに、標準でサポートしています。
一般的な画像ファイル形式
JPEG
拡張子は「jpg」や「jpeg」で、写真のように多くの色数を含む、フルカラーで写実的な画像に適しています。
ファイルサイズを比較的小さくしやすい、つまり、圧縮率を高く設定しやすいという大きな特徴がありますが、非可逆圧縮という方式のため、画像を保存するたびに画質が劣化していくという点に注意が必要です。
PNG
拡張子は「png」で、会社のロゴマーク、Webサイトのアイコン、フラットなデザインのイラスト、図形、文字が多く含まれる画像、特に、画像の背景部分を透明にしたい場合に適しています。
可逆圧縮という方式のため、画質は保存を繰り返しても劣化せず、美しい透明情報を扱うことができます。
ただし、写真のように色数が多い複雑な画像の場合、JPEG形式に比べてファイルサイズがかなり大きくなる傾向があります。
GIF
拡張子は「gif」で、簡単なアニメーション画像や、使用する色数が非常に少ない単純なイラスト、アイコンなどに適しています。
WebP
拡張子は「webp」で、Googleが開発した比較的新しい次世代の画像フォーマットです。
JPEGやPNGといった従来の主要な画像形式よりも、高い圧縮率、つまり、より小さいファイルサイズと優れた画質を両立できるとされています。
対応する主要なWebブラウザも近年急速に増えてきており、Webサイトの表示速度を高速化する観点からも非常に注目されています。
なお、WordPress本体でもWebP形式のサポートが進んでいますが、テーマや一部のプラグインによっては、WebP画像を完全に活用するために追加の対応や設定が必要となる場合もあります。
AVIF
拡張子は「avif」で、最先端の次世代画像フォーマットです。
小さいサイズのサムネイルはWebPに軍配が上がりますが、大きくなればなるほど、AVIFのほうがファイルサイズが小さくなる傾向があります。
一般的な動画ファイル形式
MP4
拡張子は「mp4」で、現在、Web上で動画を配信・再生する際に最も一般的に使用されている、標準的な動画ファイル形式です。
MOV、WMV、AVIなど
拡張子はそれぞれ「mov」「wmv」「avi」になり、MP4以外の動画形式も、技術的にはWordPressにアップロードすることは可能です。
ただし、動画ファイルはファイルサイズが非常に大きくなる傾向があります。
そのため、レンタルサーバーのディスク容量を大きく圧迫したり、訪問者のインターネット環境や使用しているデバイスによっては、再生がスムーズでなかったりといった問題が発生することがあります。
従って、特に長時間の動画や高画質の動画は、ご自身のサーバーに直接アップロードするのではなく、YouTubeやVimeoといった外部の無料・有料の動画共有サービスに一度アップロードし、その動画をWordPress記事内に「埋め込む」という方法が、一般的には推奨されます。
一般的な音声ファイル形式
MP3
拡張子は「mp3」で、Web上で音楽や音声コンテンツを配信・再生する際に、最も一般的に使用されている標準的な音声ファイル形式です。
M4A、OGG、WAVなど
拡張子はそれぞれ「m4a」「ogg」「wav」になり、MP3以外の音声形式も利用可能です。
その他の代表的なファイル形式
拡張子は「pdf」で、作成した報告書、マニュアル、パンフレット、プレゼンテーションスライドなどの資料を、元のレイアウトや書式を保ったまま、多くの人に共有するのに非常に便利なファイル形式が、PDFです。
WordPressでは、このPDFファイルの埋め込みも、標準のファイルブロックを使ってダウンロードリンクとして提供したり、「PDF Embedder」などのプラグインを利用することで、記事内で直接PDF文書の内容を閲覧可能な形で表示させたりすることが可能です。
これら以外の、より特殊なファイル形式のメディアをWordPressサイトにアップロードして利用したい場合には、サーバー側の設定変更や、そのファイル形式に対応した専用のプラグインの導入が必要になることがあります。
画像をアップロードして記事に挿入する基本手順と設定項目
それでは、WordPressの記事に、実際に画像を挿入する際の基本的な手順を、ブロックエディタの「画像ブロック」を使いながら見ていきましょう。
この内容は、第4回の講座で触れた記事作成の基本操作のおさらいも兼ねています。
画像をアップロードする前の準備:ファイル名の最適化
WordPressに画像をアップロードする前に、その画像ファイルの名前に少しだけ気を配り、一手間加えることで、後々の画像管理が格段に楽になるだけでなく、SEO(検索エンジン最適化)の観点からも良い効果が期待できます。これがファイル名の最適化です。
具体的で分かりやすい、内容を表すファイル名にする
デジタルカメラやスマートフォンが自動的に付ける、例えばIMG1234.jpgやDSC0001.JPGといった、無機質で内容が全く分からないようなファイル名のままアップロードするのではなく、その画像が具体的に何を表しているのかが分かるような、キーワードを含んだファイル名に変更します。
例えば、札幌の大通公園で撮影した美しいライラックの花の写真であれば、単に「写真1.jpg」とするのではなく、「sapporo-odori-park-lilac-flower-spring.jpg」のような、具体的で内容を推測しやすいファイル名にします。
半角の英数字(基本的には小文字)とハイフン(-)を使用する
ファイル名に日本語の文字(全角文字)やスペース、特殊な記号などを使用すると、サーバーの環境やWebブラウザの種類によっては文字化けを引き起こしたり、URLが正しく認識されなかったりするリスクがあります。
そのため、画像ファイル名は、半角の英数字(基本的には全て小文字で統一するのが望ましいです)を使用し、単語と単語を区切る際には、アンダースコア(_)ではなくハイフン・ダッシュ(-)を使うのが一般的で、かつ検索エンジンにもより好まれると言われています。
ファイル名を最適化する理由とメリット
このようにファイル名を最適化することで、後でメディアライブラリの中から画像を探しやすくなるという管理上のメリットがあります。
加えて、Googleなどの検索エンジンがその画像の内容を理解するための重要な手がかりの一つとなり、結果としてWebサイトの画像が画像検索結果でより適切に表示され、Webサイトへの流入に繋がる可能性も高まります。
新規アップロード(ドラッグ&ドロップ・ファイル選択)
WordPressの記事編集画面(ブロックエディタ)で、画像を挿入したいと場所に新しいブロックを追加するために「+」(ブロックを追加)ボタンをクリックし、表示されるブロック一覧の中から「画像」という名称のブロックを選択します。

画像ブロックが記事内に挿入されると、通常、そのブロックの中央に「アップロード」「メディアライブラリ」「URLから挿入」という3つの操作ボタンが表示されます。ここで「アップロード」というボタンをクリックします。
すると、ファイル選択ダイアログ(ファイルを開くためのウィンドウ)が表示されるので、そこからWordPressにアップロードしたい画像ファイルを選択します。
あるいは、もっと簡単な方法として、フォルダ内に表示されている画像ファイルを、マウスで直接WordPressの記事編集画面の画像ブロックのエリアにドラッグ&ドロップすることでも、同様に新しい画像をアップロードすることができます。
メディアライブラリから既存の画像を選択して記事に挿入する方法
記事に挿入したい画像が、既に以前の作業でWordPressサイトにアップロード済みで、メディアライブラリの中に保存されている場合は、画像ブロックの中央に表示される「メディアライブラリ」ボタンをクリックします。

メディアライブラリがポップアップウィンドウ(モーダルウィンドウ)として表示されるので、その中から記事に挿入したい画像を1枚(もしくは、後述するギャラリーブロックの場合は複数枚)クリックして選択します。
使用したい画像を選択したら、画面の右下の「選択」ボタンをクリックすると、選択した画像が記事の画像ブロック内にスムーズに挿入されます。
画像の配置(左寄せ・中央揃え・右寄せ)と表示サイズの調整方
記事内に無事に画像が挿入されたら、その画像ブロックを選択した状態にすると、ブロックの上部にいくつかの操作アイコンが横一列に並んだツールバーが表示されます。

画像の配置の変更
ツールバーの中にある、いくつかの横線が並んだようなデザインの配置変更アイコンをクリックすると、記事内での画像の水平方向の配置を、意図に合わせて簡単に変更することができます。
「左揃え」(画像が左に寄り、テキストが右側に回り込む)、「中央揃え」(画像が記事エリアの中央に配置される)、「右揃え」(画像が右に寄り、テキストが左側に回り込む)、あるいはテーマによっては「幅広」(記事本文のエリアよりも少しだけ広く表示される)、「全幅」(画面の横幅いっぱいに表示される)などの配置ができます。
画像の表示サイズの調整
挿入された画像をクリックして選択すると、画像の周囲や角に、青い丸の形をした「リサイズハンドル」と呼ばれる小さな操作点が表示されることがあります。
このリサイズハンドルをマウスでドラッグすることで、直感的に画像の表示サイズを大きくしたり小さくしたり、自由に調整することができます。
より正確に画像の表示サイズを指定したい場合は、画面右側にあるサイドバー(設定パネル)の「ブロック」タブを開き、アスペクト比(縦横比)、幅と高さ(ピクセル指定)、伸縮(cover: 画像をボックスに合わせて隅々まで表示するか、それとも、contain: 元画像を切り取らず全てをボックスの中に収めるか)、解像度(画像の縦横サイズ)から調整します。
画像リンク先の設定
デフォルト(初期設定)の状態では、画像にリンクは設定されておらず、訪問者が画像をクリックしても、何も起こりません。特別な意図がない限り、記事中の装飾的な画像や、内容を補足するための説明的な画像には、不要なリンクは設定しないのが一般的で、ユーザーにとっても混乱が少ないでしょう。
しかし、訪問者が記事に挿入した画像をクリックした際に、別のWebページに移動するようにリンクを設定したい場合もあります。
その場合は、画像ブロックを選択した状態で、ブロック上部のツールバーにある鎖のような形をしたリンクアイコンをクリックすると、リンク先を設定するためのオプションが表示されます。
URLを入力
テキストにリンクを設定するのと変わらず、リンク先URLを入力します。内部リンクの場合は、文字列を入力して投稿や固定ページを検索し、指定できます。新しいタブで開いたり、nofollow属性などを指定することもできます。
画像ファイルへのリンク
これを選択すると、画像ファイルそのものへの直接リンクが設定されます。訪問者がこの画像をクリックすると、その画像だけがWebブラウザいっぱいに大きく表示されます。
添付ファイルページへのリンク
これを選択すると、その画像専用の個別のWebページへのリンクが設定されます。この添付ファイルページには、画像そのものと、その画像のタイトルやキャプション、説明文などが表示されます。
クリックで拡大
これを選択すると、画像をクリックするとモーダルウィンドウで拡大表示される「ライトボックス効果」が得られます。
どのリンク先オプションを選ぶかは、その画像を記事内でどのような目的で使用するのかによって異なります。読者の利便性を考え、最も適切な設定を選びましょう。
WordPress画像の代替テキスト(alt属性)・タイトル・キャプション設定とSEO効果
WordPressの記事に画像を挿入する際には、単に画像を配置するだけでなく、その画像が一体何を表しているのか、どのような情報を持っているのかを、Webサイトを訪れる人、特に視覚的な情報を得にくい方々だけではなく、Googleなどの検索エンジンや、スクリーンリーダーといった支援技術にも正しく、そして効果的に伝えるために、いくつかの重要な付加情報を適切に設定することが強く推奨されます。
これらの情報を丁寧に設定することは、WordPressサイトのSEO(検索エンジン最適化)の効果を高めるだけでなく、Webサイト全体のアクセシビリティ、すなわち、年齢や身体的条件、利用環境に関わらず、誰にとってもWebサイトの情報や機能を利用しやすい特徴を向上させる上でも、非常に大切な取り組みとなります。
画像に関する重要なこれらの付加情報は、主に、記事編集画面で画像ブロックを選択した際に、画面の右側に表示されるサイドバー(設定パネル)の「ブロック」タブ内にある各入力欄、またはWordPressのメディアライブラリで画像を選択した際に表示される詳細情報編集画面で、簡単に設定・編集することができます。

代替(だいたい)テキスト(alt属性)の重要性と具体的な書き方
代替テキスト(alt属性)が持つ非常に重要な役割
もし何らかの理由で、Webページ上に画像が正しく表示されない環境、例えば、訪問者のインターネット接続が非常に遅くて画像の読み込みに失敗した場合や、訪問者が意図的にブラウザの画像非表示設定を有効にしている場合などで、その表示されなかった画像の代わりに、この代替テキストに入力された文章が表示されることになります。
目の不自由な方や視覚に障がいのある方が、画面に表示されている情報を音声で読み上げるソフトウェアであるスクリーンリーダーを利用してWebサイトを閲覧する際に、画像の内容を理解するために、この代替テキストが音声で読み上げられます。これは、ウェブアクセシビリティを確保する上で極めて重要な機能です。
Googleをはじめとする検索エンジンは、画像そのものを人間のように視覚的に「見る」ことで内容を理解することはできません。
そのため、検索エンジンは、この代替テキスト(alt属性)に記述された情報を、その画像が何についてのものなのかを理解するための、非常に重要な手がかりとして利用します。適切な代替テキストを設定することは、画像検索結果での画像の表示順位にも影響を与える可能性があります。
alt属性のSEO効果も期待できる、より良い書き方のポイント
alt属性は、その画像が具体的に何を表しているのか、どのような情報やメッセージを伝えようとしているのかを、訪問者にも検索エンジンにも分かりやすく、かつ簡潔に説明する自然な文章で記述します。
単にキーワードを羅列するのではなく、その画像が記事全体の文脈の中でどのような役割を果たし、どのような意味を持っているのかを考慮し、訪問者にとっても有益で分かりやすい説明文を心がけます。
例えば、単に装飾目的のみで使用されており、記事の内容を理解する上で特に伝えるべき具体的な情報がない画像の場合は、代替テキストを空欄のままにしておくことも、アクセシビリティのガイドライン上は許容されています。
例えば、デザイン上の区切り線として使われている画像や、意味のない抽象的な背景パターンなどにはalt属性を空欄にしておき、この場合、スクリーンリーダーはその画像を読み飛ばすことになります。
しかし、記事の内容に直接関連する意味のある画像であれば、基本的に代替テキストは必ず設定することが強く推奨されます。
「~の画像です」「~の写真です」といった言葉は、HTMLのimgタグでそれが画像であることは既に示されているため、通常、代替テキストに含める必要はありません。
代替テキストの具体的な記述例
あまり良くない例(情報が不十分または不適切)
「犬」「風景写真」「グラフ」「クリックしてください」など、画像の代替とならないテキストです。
より良い例(具体的で説明的)
「公園の美しい芝生の上で、嬉しそうに赤いフリスビーを追いかけている一匹の活発なボーダーコリー犬」、「夕焼けのオレンジ色の光に美しく染まる雄大な阿蘇山のカルデラ風景と、その手前に広がるススキの草原」、「2025年度上半期の製品Aと製品Bの月別売上金額の推移を比較して示す棒グラフで、製品Aが製品Bを大きく上回っている」、「続きを読む」というテキストが表示された青いボタンの画像などです。
結論として、WordPressサイトで使用する、意味のある全ての画像に対して、この代替テキスト(alt属性)は、特別な理由がない限り、必ず丁寧に設定するようにします。
タイトル、キャプション、説明の役割とそれぞれの入力例
タイトル
この「タイトル」は、主にWordPressのメディアライブラリ内で、アップロードした多数の画像の中から特定の画像を識別し、管理しやすくするために使われるものです。
一部の古いWebブラウザでは、画像の上にマウスカーソルを合わせた際に、この画像のタイトルが小さな吹き出し状のツールチップとして表示されることがありましたが、現在の主要なWebブラウザではそのような動作は一般的ではなくなってきています。
SEOやアクセシビリティへの直接的な影響は、前述の代替テキスト(alt属性)ほど大きくはありませんが、メディアライブラリでの整理整頓のためには設定しておくと便利です。
キャプション
画像のすぐ下など、画像の近くに表示される、その画像に対する短い説明文や補足情報のことです。
読者に対して、画像だけでは十分に伝わりきらない追加の情報を提供したい場合や、写真の撮影場所や撮影日時、あるいは画像の著作権者情報などを明記したい場合に利用します。
ブロックエディタでは、画像ブロック内でキャプションを簡単に入力できます。
説明
画像に関する、より詳細な説明や個人的なメモなどを記述しておくための欄です。
通常、この「説明」に入力した内容は、記事や固定ページなど、Webサイトのフロントエンド(訪問者が見る画面)には直接表示されません。
しかし、WordPressのメディアライブラリ内での高度な情報管理や、テーマによっては画像の添付ファイルページにこの「説明」の情報が表示されることがあります。
添付ファイルページは、画像のリンク先のセクションでも出てきましたが、WordPressが各画像に対して自動的に生成することがある、その画像専用の個別ページになります。
SEOに強い画像ファイル名の付け方
冒頭部分、「画像をアップロードする前の準備:ファイル名の最適化」で詳しく触れましたが、WordPressに画像をアップロードする前に、その画像ファイルの名称自体にも少し気を配り、ファイル名を最適化することで、SEO(検索エンジン最適化)の観点からもより良い効果が期待できます。
具体的でわかりやすい、かつ内容を表すファイル名にし、小文字で統一した半角英数字とハイフン(-)を使うことを説明しました。
画像に関する様々な情報を適切に設定し、アップロード前のファイル名にも配慮することで、WordPressサイトで使用する画像は、より多くの情報を持ち、訪問者にとっても検索エンジンにとっても、その価値が正しく、かつ深く理解されるようになるでしょう。
WordPressで複数画像を美しく見せる!ギャラリーブロックの使い方
WordPressの記事の中で、例えば旅行記の記事で訪れた場所の美しい風景写真をたくさん紹介したい場合や、開催したイベントのレポート記事で会場の賑やかな様子や参加者の生き生きとした表情を伝える多くのスナップ写真を見せたい場合、あるいは商品を紹介する記事で、その商品の魅力を様々な角度から撮影した複数の写真を使ってアピールしたい場合など、複数の画像をまとめて、訪問者に分かりやすく、かつ視覚的に洗練された美しいレイアウトで見せたいというニーズは非常によくあります。
このような場合に、WordPressのブロックエディタに標準で備わっている「ギャラリーブロック」という機能が非常に便利で効果的です。
ギャラリーブロックの追加と複数画像の同時選択・アップロード
WordPressの記事編集画面(ブロックエディタ)で、画像ギャラリーを挿入したい場所に新しいブロックを追加するために「+」(ブロックを追加)ボタンをクリックし、表示されるブロック一覧の中から「ギャラリー」という名称のブロックを選択します。

ギャラリーブロックが記事内に挿入されると、「アップロード」「メディアライブラリ」のボタンが表示されます。ここから、ギャラリーに含めたい複数の画像を選択してアップロードするか、あるいは既にメディアライブラリに保存されている画像の中から複数枚選択します。
キーボードのShiftキーやCtrl(Cmd)キーを押しながら画像をクリックすると、複数の画像を効率的に選択することができます。
ギャラリーに表示したい画像を全て選択し終えたら、「ギャラリーを作成」ボタンをクリックし、次に表示される画面で内容を最終確認するなどした後、「ギャラリーを挿入」ボタンをクリックします。
カラム数の調整と画像のトリミング設定
無事にギャラリーブロックが記事に挿入され、そのブロックを選択した状態にすると、画面の右側にあるサイドバーの「ブロック」タブで、作成したギャラリー全体の表示に関するいくつかの重要な設定を、好みに合わせて調整することができます。

カラムの設定
ギャラリー内で1行に表示する画像の数、つまり列の数を、スライダーを動かしたり数値を直接入力したりすることで調整できます。例えば、このカラム数を「3」に設定すれば、選択した画像が横に3枚ずつ並んで、整然としたグリッド状に表示されます。
画像を切り抜いて調整
このオプションをオン(有効)にすると、ギャラリー内に配置された各画像が、例えば全て同じ正方形や、全て同じ横長の長方形といった、統一されたアスペクト比(縦横比)になるように、WordPressが自動的に画像をトリミング(画像の不要な部分を切り抜き)して表示します。
これにより、ギャラリー全体がより整然とした、デザイン的に均一なグリッド表示になります。逆に、このオプションをオフ(無効)にすると、各画像の元の縦横比を保ったまま、可能な限りスペースを詰めて柔軟に表示されます。
どちらの表示が良いかは、Webサイトのデザインや、見せたい画像の内容によって使い分けてください。
また、ギャラリー内の各画像もしくはギャラリーをまとめて、画像ブロックと同様に、リンク先URL入力、画像ファイルへのリンク、添付ファイルページへのリンク、クリックで拡大の各リンクを設定できます。
各画像のキャプション追加と表示順の並び替え
作成したギャラリーブロックを編集する際には、ブロック内でそれぞれの画像を直接クリックすることで、その画像に対して個別のキャプションを追加することも可能です。
また、ギャラリー内に表示されている画像の並び順は、画像をマウスでドラッグ&ドロップすることで、意図した通りに簡単に並び替えることができます。
WordPress標準のギャラリーブロックの機能だけでは物足りず、もっと高度な表示方法を実現したいと感じる方もいらっしゃるでしょう。
例えば、画像をクリックすると、背景が暗くなって画像だけが画面中央に大きく浮かび上がるように表示されるようにしたい、多彩なトランジションエフェクトを持つ洗練されたスライドショー形式で画像を見せたいといった場合です。
このような場合には、世の中には非常に多くのギャラリープラグインが存在します。
例えば、長年多くのユーザーに利用されている高機能な「NextGEN Gallery」や、美しいデザインと使いやすさで人気の「FooGallery」といったプラグインがあります。
これらの専門的なギャラリープラグインをWordPressサイトに導入することで、より多機能で、よりプロフェッショナルな印象の画像ギャラリーを作成することも可能です。
なお、プラグインの導入と基本的な使い方については、この講座の第7回で詳しく解説しています。
YouTube動画やSNS投稿をWordPress記事に簡単埋め込みする方
WordPressサイトのサーバーに、直接MP4などの動画ファイルをアップロードして記事内で再生させることも技術的には可能ですが、動画ファイルは一般的にファイルサイズが非常に大きいため、レンタルサーバーのディスク容量をすぐに圧迫してしまったり、訪問者のインターネット接続環境や使用しているデバイスによっては、途中で止まってしまったり、画質が低下したりなど、再生がスムーズでなかったりといった問題が発生することがよくあります。
そのため、特に長時間の動画や高画質の動画を記事内で紹介したい場合は、まずYouTubeやVimeoといった外部の動画共有サービスにその動画を一度アップロードし、そのアップロードした動画をWordPress記事内に「埋め込む」という方法が、一般的でかつ推奨される方法です。
埋め込みブロックの種類と使い方
幸いなことに、現在のWordPressのブロックエディタには、動画共有サイト、SNS、音楽配信サービスなど、主要な外部のWebサービスのコンテンツを、記事内に非常に簡単に埋め込むための、それぞれのサービスに対応した専用の「埋め込みブロック」が多数、標準で用意されています。
代表的な埋め込みブロックの例
「X(旧Twitter)」「YouTube」「SoundCloud」「Spotify」「Flickr」「Vimeo」「TikTok」など、他にも様々なサービスに対応した埋め込みブロックがあります。

これらの専用埋め込みブロックの使い方は、どのサービスのものでも、基本的には非常に簡単です。
WordPressの記事編集画面(ブロックエディタ)で、外部サービスのコンテンツを埋め込みたい場所に、新しいブロックを追加するために「+」(ブロックを追加)ボタンをクリックし、表示されるブロック一覧の中から、埋め込みたいサービスの専用ブロック(例えば、「YouTube」ブロック)を選択します。
選択したサービスの埋め込みブロックが記事内に挿入されると、そのサービスのコンテンツのURLを入力するための専用の欄が表示されます。
そこに、記事内に埋め込みたいコンテンツのURLを正確にペーストし、「埋め込み」ボタンをクリックします。
すると、WordPressが自動的にその指定されたURLからコンテンツ情報を取得し、動画プレーヤーやSNSの投稿などが、記事内に元のデザインや機能を保ったまま適切に表示されるようになります。

共有URLを貼り付けるだけの簡単埋め込み(oEmbed機能の活用)
実は、多くの主要な外部サービスのコンテンツURLは、上記のような専用の埋め込みブロックをわざわざ選択しなくても、単にWordPressの記事編集画面の新しい段落ブロックにそのURLを直接ペーストして、キーボードのEnterキーを押すだけで、WordPressが自動的にそのURLを認識し、適切な埋め込み形式に自動的に変換してくれることがあります。
これは「oEmbed(オーエンベッド)」と呼ばれる、WordPressに標準で備わっている非常に便利な機能によるものです。
非常に手軽な方法なので、まずはこの方法で試してみる価値があります。
レスポンシブ対応!埋め込みコンテンツのスマホ表示最適化
これらのWordPress標準の埋め込みブロックを使って記事に挿入された動画やSNSの投稿といった外部コンテンツは、基本的にレスポンシブデザインに対応しており、Webサイトを訪問した人が閲覧しているデバイスの画面サイズに合わせて、埋め込まれたコンテンツの幅や高さが自動的に調整され、常に適切に見やすい形で表示されるようになっています。
特に、動画埋め込みのレスポンシブ対応は、スマートフォンからのアクセスが非常に多い現在のWebサイトにおいては、ユーザー体験を損なわないために極めて重要です。
記事を実際に公開する前には、必ずWordPressのプレビュー機能を使って、様々な画面サイズ、特にスマートフォンでの表示で、埋め込みコンテンツが正しく、そして美しく表示されるかを確認するようにします。
動画やSNSの投稿といった、動きのあるリッチな外部コンテンツをWordPress記事に効果的に取り入れることで、記事の内容がより多角的で豊かになり、訪問者のエンゲージメント、すなわち記事への関心や愛着、滞在時間などを大きく高めることができます。
WordPressサイト高速化のための画像最適化テクニック【初心者向け】
WordPress記事に多くの美しい高画質な画像を使用することは、訪問者にとって非常に魅力的で、記事の内容を豊かにする上で大変効果的ですが、その一方で注意しなければならない非常に重要な点があります。
それは、画像のファイルサイズ(データ量)が大きいと、Webページの全体の読み込みが遅くなり、結果として訪問者の離脱、つまりサイトを見るのをやめてしまうことを招いたり、Googleなどの検索エンジンからWebサイトの評価(SEO評価)を下げてしまったりする大きな原因となる可能性があるということです。
そのため、WordPressサイトで使用する全ての画像は、「最適化」という処理を行って、画質をできるだけ損なわずにファイルサイズを可能な限り小さく保つことが、Webサイト全体の表示速度を高速化し、訪問者に快適な閲覧体験を提供し、ひいてはSEO評価を向上させるために、非常に重要になります。
なぜ画像最適化が必要なのか?(サイト表示速度とSEO・ユーザー体験への影響)
Webサイトの表示速度の大幅な向上
ファイルサイズが小さい画像は、訪問者のWebブラウザがその画像をインターネット経由でダウンロードするのにかかる時間が大幅に短縮されるため、結果としてWebページ全体の表示が速くなります。
ユーザー体験(UX)の劇的な改善
表示が速いWebサイトは、訪問者が感じるストレスを大きく軽減し、Webサイトの利用満足度を格段に高めます。現代のインターネットユーザーは、情報に素早くアクセスできることを非常に重視しています。
SEO(検索エンジン最適化)への好影響
Googleをはじめとする主要な検索エンジンは、Webサイトの表示速度を、そのWebサイトの検索結果におけるランキング(表示順位)を決定するための重要な要因の一つとして公式に考慮しています。
そのため、画像の最適化によるWebサイト全体の高速化は、間接的にではありますが、WebサイトのSEO評価にも良い影響を与える可能性があります。
サーバーのディスク容量とデータ転送量の節約
画像のファイルサイズが小さければ小さいほど、レンタルサーバーのディスクスペース、つまりデータを保存できる容量の消費を抑えることができます。
また、訪問者がWebサイトのページを閲覧する際の、サーバーからのデータ転送量も削減できるため、サーバーの負荷軽減にも繋がり、結果としてレンタルサーバーの費用を抑えることにも貢献する場合があります。
ファイルサイズの目安と圧縮方法(プラグイン利用・オンラインツール活用)
画像ファイルサイズの一般的な目安
一概に「このサイズ以下でなければならない」という厳密な基準は存在しませんが、Webサイトで使用する画像は、一般的に1枚あたり数百KB(キロバイト)以下、できれば100KB~200KB程度に抑えるのが理想的と言われています。
特に、記事のメインビジュアルとなるような大きな画像、例えば、全幅表示のカバー画像などであっても、1MB(メガバイト)を超えるような非常に大きなファイルサイズの画像は、何らかの最適化、圧縮やリサイズが必要であると考えましょう。
画像のファイルサイズを圧縮するための具体的な方法
WordPress画像圧縮プラグインの利用
この講座の第7回「プラグイン」の回でも少し触れましたが、「EWWW Image Optimizer」や「Smush」、その他「ShortPixel Image Optimizer」といった、WordPress専用の画像圧縮・最適化プラグインをWebサイトに導入すると、画像をWordPressにアップロードする際に、これらのプラグインがバックグラウンドで自動的にその画像を圧縮し、最適化してくれます。
また、既にWebサイトにアップロード済みの画像も、管理画面から一括で最適化処理を行える便利な機能を備えているプラグインも多くあります。
オンラインの無料画像圧縮・リサイズツールの活用
TinyPNG
TinyPNGは、PNG形式やJPEG形式の画像を、見た目の画質の劣化を最小限に抑えながら、非常に高い圧縮率で効率的にファイルサイズを小さくすることができる、世界中でも非常に人気の高い、一部無料のオンラインツールです。
iLoveIMG
iLoveIMGは、画像の圧縮機能だけでなく、画像リサイズツールとしても非常に多機能で、指定した寸法への画像のサイズ変更、特定の部分だけを切り抜くクロップ機能、画像ファイル形式の変換、画像の回転や反転といった、Webサイト用の画像を準備する上で必要な様々な編集作業が、すべてオンライン上で一部無料で行える便利なサービスです。
高機能な画像編集ソフトウェアでの書き出し設定の工夫
Adobe Photoshopや、無料でありながら高機能なGIMPといった、本格的な画像編集ソフトウェアを使用している場合は、画像をWebサイト用に保存する際に、ソフトウェアに搭載されている「Web用に保存」といった書き出しオプションを利用し、画質とファイルサイズの最適なバランスを見極めながら、適切な圧縮レベルやファイル形式で画像を書き出すようにします。
最適な画像ファイル形式の選び方と使い分け
この講座の前半部分、「WordPressが標準でサポートするファイル形式」のセクションでも触れましたが、画像ファイル形式にはそれぞれ異なる特性があり、記事内で使用する画像の内容や目的に応じて、ファイル形式を適切に使い分けることが、画質の美しさとファイルサイズの小ささの最適なバランスを取る上で非常に重要になります。
JPEG形式
適した用途
風景写真、人物写真、商品写真などの写真、グラデーションが多い画像など、フルカラーで複雑な色情報を持つ画像に最適です。
主な特徴
高い圧縮率を実現しやすく、ファイルサイズを比較的小さくしやすいという大きなメリットがあります。ただし、一度圧縮すると元に戻せない非可逆圧縮という方式なので、保存を繰り返すと画質が徐々に劣化していく点に注意が必要です。
PNG形式
適した用途
会社のロゴマーク、Webサイトのアイコン、線のはっきりしたイラストや図形、文字が多く含まれる画像、そして特に、画像の背景部分を透明にしたい場合に適しています。
主な特徴
圧縮しても画質が劣化しない可逆圧縮という方式のため、画像の品質を損なわずに保存できます。また、背景の透明情報を美しく扱うことができます。ただし、写真のように色数が多い複雑な画像の場合、JPEG形式に比べてファイルサイズがかなり大きくなる傾向があります。
GIF形式
適した用途
数コマの動きをループで繰り返すようなごく単純なアニメーションや、使用する色数が非常に少ない単純なアイコンやイラストなどに適しています。
主な特徴
アニメーションに対応しているのが大きな特徴です。しかし、静止画としての画質や表現力はかなり劣ります。
WebP形式
適した用途
JPEGやPNGといった従来の主要な画像形式の代替として、より高い画質を保ちながら、より高い圧縮率を実現することを目指す場合に、非常に有効な選択肢となります。
主な特徴
Googleが開発した、ウェブサイトでの利用を主目的とした比較的新しい次世代の画像フォーマットです。一般的に、JPEGよりもファイルサイズを25~35%程度小さくできると言われており、PNGのように背景の透明情報を扱うことも可能です(可逆圧縮モードと非可逆圧縮モードの両方をサポートしています)。
近年、Chrome, Firefox, Edge, Safariなど主要なWebブラウザでの対応が急速に進んでいます。
WordPressサイトでWebP画像を利用するためのWebP形式への変換方法としては、専用のオンライン変換ツール(例えば、Googleが提供している「Squoosh (squoosh.app)」というウェブアプリ)を利用したり、WebP形式への書き出し機能を備えた最新の画像編集ソフトウェアを使用したり、あるいはEWWW Image OptimizerのようなWordPressプラグインが、画像をアップロードした際に自動的にWebP形式へ変換してくれる機能をサポートしている場合もあります。
Webサイトの表示速度向上への貢献が大きく期待できるため、今後ますますWebサイトでの利用が広がっていくと考えられます。
Webサイトをさらに高速化する「Lazy Load(遅延読み込み)」設定
Lazy Load(レイジーロード)設定とは、日本語では遅延読み込みと呼ばれ、Webページが最初に読み込まれる際に、その時点で訪問者のブラウザの画面に表示されていない画像、つまり、ページを下にスクロールしないと見えない範囲にある画像はすぐには読み込まず、訪問者がページをスクロールしていき、その画像が実際に画面の表示領域に入ってきたタイミングで初めて、その画像をサーバーからダウンロードして表示するようにする技術のことです。
このLazy Loadという技術をWordPressサイトに導入することで、特に画像が多く使用されている長いページなどでは、ページの初期表示に必要なデータ転送量を大幅に削減できるため、訪問者が体感するページの表示速度を大きく改善できるという、非常に大きな効果があります。
WordPressのバージョン5.5以降では、この画像の遅延読み込み機能が、実はWordPressのコア(本体)機能として標準である程度備わっています。具体的には、imgタグにloading="lazy"
というHTML属性が自動的に付与されます。
しかし、より細かく遅延読み込みの動作を制御したい場合、例えば、ある画像だけは遅延読み込みの対象外にしたいといった要望や、背景画像など、WordPressの標準機能では遅延読み込みの対象とならない要素にも適用したいといった場合には、専用のWordPressプラグインを導入することで、より高度なLazy Load設定を行うことが可能です。
例えば、「Lazy Load by WP Rocket」や「a3 Lazy Load」といった、この機能に特化した人気のプラグインがあります。
これらのプラグインは、画像だけでなく、YouTube動画などの外部コンテンツの埋め込みに使われるiframeや動画に対しても、遅延読み込みを適用できる便利な機能を備えていることがあります。
画像利用時の注意点:著作権について – 安心して使える素材の選び方
作成するWordPressの記事やWebサイトに使用する画像は、必ずその画像の著作権に最大限の配慮をするようにしてください。これは、Webサイトを運営する上で非常に重要な法的かつ倫理的な責任です。
最も安全なのは、ご自身で撮影したオリジナルの写真やオリジナルのイラストを使うことです。これらは、ご自身が著作権を持っているため、自由に利用できます。
インターネット上で見つけた他の人のWebサイトに掲載されている画像や、Googleなどの検索エンジンの画像検索で見つけた画像を、その画像の著作権者の許可を得ずに無断でコピーして、ご自身のWebサイトで使用することは、著作権法に違反する行為であり、法的なトラブルに発展する重大なリスクがあります。絶対にやめましょう。
もし、他の方が作成した画像を使いたいと思った場合は、必ずその画像の著作権者に直接連絡を取って利用の許可を得るか、その画像がどのようなライセンス条件(利用許諾条件)のもとで提供されているのかを正確に確認し、その条件を厳格に遵守した上で正しく利用する必要があります。
安心して利用できる画像素材の入手先としては、著作権フリー、またはロイヤリティフリーの画像を提供している専門のWebサイトで提供されている高品質な素材を利用する方法があります。
ただし、これらのWebサイトで「著作権フリー」や「商用利用可」とされている画像であっても、各サイトや各画像ごとに、より詳細な利用規約が細かく定められている場合があるため、画像をダウンロードして利用する前に、必ずその利用規約を個別に、そして注意深く確認し、それを厳格に遵守するようにします。
あるいは、Adobe Stock、Getty Images、PIXTAといった、プロ品質の画像素材を販売している有料のストックフォトサービスで、必要な画像の適切なライセンスを購入して利用する方法もあります。
著作権という他者の権利を尊重することは、インターネット上で情報を発信する者としての基本的なマナーであり、法的なトラブルを未然に避けるためにも不可欠な心構えです。
PDFファイルの埋め込みと活用方法
プレゼンテーション資料、調査レポート、製品カタログ、イベントのチラシなど、作成したPDF形式の文書ファイルを、WordPressの記事内で訪問者に直接見てもらったり、ダウンロードしてもらったりしたいというケースもよくあります。
WordPressでは、このようなPDFファイルの埋め込みや共有も、いくつかの簡単な方法で実現できます。
WordPress標準のファイルブロックを使ったPDFの表示とダウンロード
WordPressのブロックエディタに標準で備わっている「ファイルブロック」を利用すると、記事内にPDFファイルへのリンクを簡単に設置できます。
記事編集画面で「+」(ブロックを追加)ボタンをクリックし、「ファイル」ブロックを選択し、「アップロード」または「メディアライブラリ」ボタンから、記事に掲載したいPDFファイルを選択します。
すると、記事内にそのPDFファイルの名称と、ダウンロードするためのボタンが自動的に表示されます。訪問者はこのボタンをクリックすることで、PDFファイルをパソコンなどにダウンロードできます。

この方法は、訪問者にPDFファイルをダウンロードして手元でじっくり見てもらいたい場合に適しています。
専用プラグインを使った閲覧可能な形でのPDF埋め込み
PDFファイルをダウンロードさせるだけでなく、Webページ内で直接、あたかも画像のように閲覧可能な形で埋め込みたい場合は、専用のWordPressプラグインを利用するのが一般的です。
おすすめのPDF埋め込みプラグインの例
PDF Embedder
非常に多くのWordPressサイトで利用されている、シンプルで使いやすい人気のPDF埋め込みプラグインです。
有効化すると、メディアライブラリにアップロードしたPDFファイルのURLをショートコードで指定するだけで、記事内にPDFビューア(閲覧ウィンドウ)を埋め込むことができます。
訪問者は、特別なソフトウェアを必要とせず、Webブラウザ上でPDFの内容をスクロールしたり、拡大・縮小したりしながら閲覧できます。無料版でも基本的な機能は十分に利用可能です。
その他にも、Google DriveのPDFビューア機能を活用して埋め込むプラグインや、より高機能な有料のPDF表示プラグインなども存在します。
プラグインを使った埋め込みのメリット
訪問者がPDFファイルを開くために別途ソフトウェアを起動したり、ファイルをダウンロードしたりする手間を省けるため、よりスムーズな情報提供が可能になります。
特に、マニュアルや案内資料など、Webページ上で手軽に内容を確認してほしい場合に有効です。
これらの方法を使い分けることで、WordPressサイトでPDFファイルも効果的に活用し、訪問者にとってより価値のある情報を提供できるようになります。
これらの知識とテクニックを活かして、WordPressサイトで使用する画像、動画、PDFファイルといった様々なメディアを効果的に管理・活用し、訪問者にとってより魅力的で、かつ快適に閲覧できる素晴らしいサイトを目指していきましょう!
次回予告:たくさんの人に見てもらうために!SEOとセキュリティの基本
お疲れ様でした!第8回では、WordPressサイトのメディアライブラリの基本的な使い方から始まり、記事への画像の挿入や簡単な編集方法、複数の画像を美しく効果的に見せるためのギャラリー作成テクニック、YouTubeなどの外部サービスの動画を記事にスムーズに埋め込む方法、そしてWebサイトの表示速度にも大きく関わってくる、非常に重要な画像の最適化に関する実践的なヒントまで、WordPressでメディアファイルを効果的に活用し、記事をさらに視覚的に豊かで魅力的なものにするための具体的な方法を幅広く学びました。
これで、作成する記事も、単に情報を伝えるだけでなく、訪問者の五感に訴えかけ、より深く記憶に残る素晴らしいコンテンツへと進化していくことでしょう。
さて、WordPressサイトに、質の高い文章コンテンツと、それを彩る美しい画像や動画が充実してきたら、次に非常に重要になってくるのは、その愛情を込めて丹念に作り上げたあなたのWebサイトを「どうすればより多くの、本当にその情報を必要としている人々に実際に見てもらえるのか?」という集客の課題と、そして「どうすればその大切なサイトを、日々変化するインターネット上に潜む、不正アクセス、サイト改ざん、マルウェア感染など、様々な脅威から、安全に、そして確実に運営し続けられるのか?」というセキュリティの課題です。
次回、いよいよWordPressサイト運営の核心に迫る、非常に重要なテーマを扱う第9回「WordPressサイトを守り、多くの人に届けよう!SEOとセキュリティの第一歩」では、Googleなどの検索エンジンからより多くの質の高い訪問者をWebサイトに呼び込むための「基本的なSEO(検索エンジン最適化)対策」と、WordPressサイトを様々なオンライン上の脅威から強固に守るための「基本的なセキュリティ対策」という、Webサイト運営における車の両輪とも言える2つのテーマについて、WordPress初心者の方にも分かりやすく、そして今日からすぐに実践できる形で徹底的に解説していきます。
Webサイト運営における、いわば「攻め」の戦略であるSEOと、「守り」の戦略であるセキュリティ対策。
この2つの非常に重要なテーマをしっかりと学び、WordPressサイトをさらに多くの人々に届け、そして安全に、力強く成長させていきましょう。
どうぞ次回の講座もご期待ください!